基礎知識
戦闘関係
サモのスキル「ほいこーろー」は、敵味方のステータスに関係なくランダム固定ダメージを与えるという、通常のダメージ量の計算式には従わない技である。
ここでは、実際に「ほいこーろー」のダメージ量や期待値についてプレイして調べた結果を掲載する。
また、敵側にも「ほいこーろー」と似た仕様の「わいろ」という技があるので、合わせて掲載している。
「ほいこーろー」は、1~99のランダム固定ダメージを与えるという仕様がある(ようである)。
演出では、サモが妙な踊りを踊り、そのSTEP数が最後に表示され、そのSTEP数のダメージを与える。
99STEPSだとサモが最後に四股を踏むモーションが入る。
実のところ、「ほいこーろー」の仕様の詳細はよくわからない。
インターネットで検索してみても「敵味方のステータスに関係なく1~99のランダム固定ダメージ」程度の情報しか見当たらない(あるのかもしれないが、筆者には見つけられなかった。ご存知の方がいらっしゃったら情報いただけると非常にありがたいです)。
99STEPSの時だけサモが最後に四股を踏む限定モーションが入るため、上限が99であることは確実と思われる。
世界の合言葉は森部様によれば、SFC版での「ほいこーろー」は、
ほいこーろーは、踊る前にSTEP数を設定するわけではなく、
踊りながらここで終わるか続けるかを決めている気がする。
具体的な確率はわからない。
STEP数は分布で言うと一様分布ではなく幾何分布になりそう。
つまり、サイコロの目が出る確率(1~6の目が均等に1/6の確率で出現する)のような一様分布ではなく、特定の値が出やすい幾何分布ではないか、という話である。
そこで、実際にプレイして1000回分の「ほいこーろー」のデータを記録してみた。
敵味方のステータスは一切関係ないという前提で行っているので、最終編で出くわした敵に片っ端から「ほいこーろー」をぶつけている。
データはlal_Huiguorou - Googleスプレッドシートにまとめて掲載した。
このデータからわかったことを以下に記す。
1000回「ほいこーろー」を試した結果、STEP数の平均値は32.4となった。
上の通り、サイコロの目が出る確率のような一様分布だったら、平均値は1~99の中央の値である「50」がSTEP数の平均となったはず。
だが、そうならなかったということは、少なくとも一様分布ではなく偏りがあるということになる。
ただしどういう分布なのかまではわからない。
下は1000回中の各STEPの出現回数である。
STEP数 | 出現回数 | STEP数 | 出現回数 | STEP数 | 出現回数 | STEP数 | 出現回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 26 | 21 | 51 | 11 | 76 | 1 |
2 | 5 | 27 | 19 | 52 | 7 | 77 | 3 |
3 | 12 | 28 | 13 | 53 | 5 | 78 | 1 |
4 | 6 | 29 | 18 | 54 | 13 | 79 | 2 |
5 | 9 | 30 | 17 | 55 | 10 | 80 | 2 |
6 | 12 | 31 | 22 | 56 | 7 | 81 | 0 |
7 | 18 | 32 | 18 | 57 | 7 | 82 | 2 |
8 | 20 | 33 | 17 | 58 | 11 | 83 | 3 |
9 | 21 | 34 | 15 | 59 | 8 | 84 | 1 |
10 | 23 | 35 | 14 | 60 | 13 | 85 | 0 |
11 | 29 | 36 | 23 | 61 | 7 | 86 | 2 |
12 | 25 | 37 | 11 | 62 | 8 | 87 | 0 |
13 | 20 | 38 | 15 | 63 | 4 | 88 | 2 |
14 | 18 | 39 | 11 | 64 | 5 | 89 | 1 |
15 | 23 | 40 | 22 | 65 | 5 | 90 | 3 |
16 | 29 | 41 | 9 | 66 | 7 | 91 | 0 |
17 | 23 | 42 | 5 | 67 | 4 | 92 | 2 |
18 | 28 | 43 | 6 | 68 | 6 | 93 | 1 |
19 | 19 | 44 | 11 | 69 | 4 | 94 | 3 |
20 | 21 | 45 | 8 | 70 | 3 | 95 | 1 |
21 | 21 | 46 | 7 | 71 | 2 | 96 | 0 |
22 | 19 | 47 | 11 | 72 | 5 | 97 | 1 |
23 | 22 | 48 | 7 | 73 | 3 | 98 | 2 |
24 | 18 | 49 | 6 | 74 | 4 | 99 | 12 |
25 | 20 | 50 | 9 | 75 | 0 |
今回の結果を見ると、極端に低い値(5以下)と、41以上あたりは出る確率が低めになっているようである。
幾何分布(幾何分布 - Wikipedia)なら、STEP数が少ないほど確率が高くなる、という分布になるはずであるから、単純な幾何分布に従っているということではなさそうである。
もうひとつ気になるのは、最大であるSTEP数99が割と高い確率で出現していることである。
この点についても幾何分布には従っていない。
「踊る前にSTEP数を設定するわけではなく、踊りながらここで終わるか続けるかを決めている」という説が正しいと仮定してみる。
例えば、
ということであれば、今回の結果が再現できそうな気もする。
筆者は確率や統計には詳しくないので、これ以上のことはよくわからない。
上にも記したが、インターネットで調べると、「ほいこーろー」のSTEP数の下限値は「1」であると記してあるウェブサイト様が多いようである。
だが、今回、1000回データを取ってみたものの、「1」は出なかった。
75以上のSTEP数でも、出なかった数値がいくつかあるのだが、最大値と思われる99は何度か出ているので、単純に確率が低くて出なかっただけ、という可能性が考えられる。
一方で、1桁のSTEP数は1以外全てそこそこの回数で出現している。
試行回数1000回では、全ての値を出すには足りないというだけなのかもしれないので、「1は出ない」と断言はできない。
ただ、確率とは別の、「画面上の表示」の問題で気にかかることがあるので、以下に記しておく。
ゲーム機の仕様や仕組み、プログラミング等に関係する話になり、筆者は特別詳しいという訳ではないため、間違いがあるかもしれない。
スーパーファミコンでは、背景であるバックグラウンド(BG)、キャラなど動きのある絵を描画するためのスプライトという小さめの画像の2種類で、画面に絵を表示している。
ほいこーろーの結果は、「99STEPS」のように「数字」+「STEPS」と画面上に表示している。
STEP数の表示用の「数字」及び、「STEPS」という文字の画像も、専用のスプライトを別途作成して使っている、と思われる。
複数形の「S」が最後についているため、STEP数が1の時だけ「STEP」という別のスプライトを用意し(あるいは、「STEP」と「S」を分けて作るか)、プログラムも別に記す必要があるのではないだろうか。
スプライトの仕様及び、ゲームソフトの容量や読み込み時のメモリを節約するため、STEP数に1を含まないようにしていた、という可能性は一応考えられる。
(ちなみにほいこーろーを舞っている最中には♪などのスプライトも使われているが、これはおそらく、べるの「るーるー」演出時のスプライトと兼用ではないだろうか)
なお、リメイク版ではSTEP数「1」も存在し、この時は「1STEP」と単数形表示されることを確認している。
ゲーム機の進化により、容量的にも技術的にも、「1STEP」と「2STEPS」以上の表記分けにさして問題はないのであろう。
幕末編の家老、商人および、最終編のポリディクティスが使う技「わいろ」は、「ほいこーろー」と仕様が似ており、ランダム固定ダメージを与える。
ただし「ほいこーろー」とまったく同一かどうかはわからないので、こちらも実際に1000回分のデータをとってみた。
「わいろ」を使用するのは、幕末編の家老、商人および、最終編のポリディクティス。
最終編はランダムエンカウントのため、検証の上でポリディクティスだけを狙うのは手間がかかる。
また、家老は「わいろ」と攻撃範囲が被る「ななめ斬り」などの技を所持しているので、「わいろ」だけを出しやすい商人を相手にする。
商人は真横または真下に隣接している場合、「わいろ」しか使用しない。
味方がダメージをくらう関係で、味方キャラが2人以上いる状態で戦闘を行う方が安全かつ手間がかからない(味方ひとりだと倒れるたびにリセット&セーブデータをロードの手間が入る)。
商人の1体目(固有名称は「越前屋」)に話しかけて戦闘に入る→「わいろ」を繰り返す→ダメージをくらった味方が戦闘不能になったら「逃げる」で逃げて仕切り直す、をひたすら繰り返してみた。
ちなみに「わいろ」は技レベルが1と低く、商人もレベル4とレベルが低い関係で、味方側のレベルが7以上だと「わいろ」の命中率がどんどん下がってしまう。このため、カラクリ丸を仲間にしたら初期レベル2のまま商人と戦い、カラクリ丸にひたすら「わいろ」を当ててもらうのが一番効率が良い。以下データはこの方法で取得している。
詳細なデータはlal_wairo - Googleスプレッドシートを参照。
ダメージ量 | 出現回数 | ダメージ量 | 出現回数 | ダメージ量 | 出現回数 | ダメージ量 | 出現回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | 26 | 14 | 51 | 4 | 76 | 0 |
2 | 62 | 27 | 12 | 52 | 6 | 77 | 0 |
3 | 55 | 28 | 11 | 53 | 2 | 78 | 0 |
4 | 51 | 29 | 12 | 54 | 3 | 79 | 1 |
5 | 54 | 30 | 13 | 55 | 1 | 80 | 0 |
6 | 49 | 31 | 14 | 56 | 2 | 81 | 0 |
7 | 47 | 32 | 9 | 57 | 2 | 82 | 1 |
8 | 39 | 33 | 10 | 58 | 7 | 83 | 0 |
9 | 37 | 34 | 11 | 59 | 0 | 84 | 0 |
10 | 31 | 35 | 9 | 60 | 0 | 85 | 0 |
11 | 45 | 36 | 4 | 61 | 1 | 86 | 3 |
12 | 34 | 37 | 5 | 62 | 1 | 87 | 0 |
13 | 22 | 38 | 3 | 63 | 0 | 88 | 1 |
14 | 27 | 39 | 7 | 64 | 1 | 89 | 0 |
15 | 18 | 40 | 11 | 65 | 0 | 90 | 0 |
16 | 33 | 41 | 5 | 66 | 1 | 91 | 0 |
17 | 25 | 42 | 5 | 67 | 1 | 92 | 0 |
18 | 15 | 43 | 3 | 68 | 0 | 93 | 0 |
19 | 20 | 44 | 4 | 69 | 1 | 94 | 0 |
20 | 28 | 45 | 5 | 70 | 1 | 95 | 0 |
21 | 18 | 46 | 3 | 71 | 2 | 96 | 0 |
22 | 16 | 47 | 3 | 72 | 1 | 97 | 0 |
23 | 18 | 48 | 4 | 73 | 0 | 98 | 0 |
24 | 16 | 49 | 3 | 74 | 2 | 99 | 0 |
25 | 9 | 50 | 1 | 75 | 0 | 100 | 1 |
1000回「わいろ」を試した結果、「ほいこーろー」とはダメージ量分布がかなり異なるということがわかった。
ダメージ量で「1」と「100」が出ていること、またダメージ量の平均値は17.2と、「ほいこーろー」よりかなり低い。
平均値こそ17だが、実際には「2」が出る回数が一番多かった。
また、「ほいこーろー」以上に高めの数値が出る回数が少なく、50以上になると出現確率としてはかなり信頼性に欠ける。
ダメージ量100に至っては、1000回の試行のうちたった1回のみであり、それより下の数値は「88」が1回出ただけである。
つまり、最大値が「100」かどうかもあやしい(ただしキリの良い数字なのであり得なくはない。また、100以上のダメージ量が出ると味方側が理不尽に一撃死ということもあり得るため、100を上限としている可能性もある。とはいえSFC時代のゲームなので割と理不尽なことはあり得るか……)。
仮に1~100のダメージが出る技としても、「ほいこーろー」と同じく、「どの値も出やすい一様分布」ではなく、小さい値が出やすい幾何分布っぽい、ということは確実である。
また、「わいろ」は「ほいこーろー」とは異なり、ダメージ量表示の際は他の技と同じく数値が出るのみのため、「ほいこーろー」のように「~STEPS」の問題は起こらないので、ダメージ量「1」も存在しているのだと思われる。ただし出現頻度は低い。
「わいろ」の方が「ほいこーろー」よりダメージ量が低めに出るよう設定されているのは、敵が使用する技だからだろう。
幕末編では、進め方次第でおぼろ丸が初期レベルの時から「わいろ」を使用する敵と戦うことができる。
最終編ではポリディクティスが出現するのは味方レベル合計値が4~7であり、普通にプレイしていると初期レベルが2の高原など、相当限られた条件下でしかエンカウントすることがない。
このような状況下で、「ほいこーろー」と同じ仕様のままの「わいろ」を使われると難易度の問題が生じるという判断だろう。