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ロボットアニメ、特撮、プロレスからのネタが多め。
歌詞にロボット名や必殺技名が入っている主題歌「GO!GO!ブリキ大王!!」が存在しているのも、昭和のロボットアニメのオマージュである。
SF編もそうだが、レトロフューチャーな雰囲気が多分に漂っている。レトロフューチャーというよりは、SFC版発売の時代にはなかった言葉だが、2020年代での「昭和レトロ」に近いかもしれない。人によっては近未来編というより昭和編だろうと突っ込みたくなるだろう。
極めつけにラストボス戦では「けるる~しょうわ」という「唱和」と「昭和」のダブルミーニングの技まで登場するあたり、最初から最後まで昭和ネタのオンパレードである。
SFC版が発売された1994年には既に昭和は終わっているが、昭和終了からわずか5年という時期であり、SFC版の開発にかかわったスタッフは昭和文化の中で育っている。つまり無法松のような「昭和の男」たち(女性スタッフもいるが)が本作を作った、ということである。

このページではしつこく「昭和」を繰り返しているが、実際には昭和中期~後期、すなわち1960年代くらいから、昭和の終わりである1989年までを指していると考えていただきたい。
つまり、日本における高度成長期及び、現在の日本のサブカルチャーの基礎(テレビ放送の黎明期からファミコンの登場あたりまで)が築かれた時代である。

SFC版攻略本では、近未来編について、「昔のテレビ漫画のような、馬鹿馬鹿しいなりに意味のある、ど根性ものをやってみたかった」というスタッフのコメントがある。
『テレビ漫画』は、昭和中期あたりの『子ども向けアニメ』のこと。つまりこの表現自体も「昭和」である。
近未来編デザイン担当の島本和彦先生の熱い作品群の他、昭和中期に流行したいわゆる「スポ根」モノの雰囲気が含まれているのもそのためであろう(また、島本先生はスポ根モノをリスペクトした作品を多数発表している)。
「ド根性」がキーワードであることは、無法松の「ド根性キック」や台詞回し、そしてアキラの最終編での最強武器「ド根性グラブ」からも明らかである。リメイク版では「ド根性グラブ」の説明が「全てはド根性で解決できる!」である。

本作は各シナリオのデザインを7人の漫画家が担当しているが、特に近未来編は担当の島本和彦先生が切り離せない存在となっている。
ファンからの15の質問に開発陣が回答した26周年記念生放送をリポート | ファミ通.com
の、Q2の回答を参照していただきたいが、近未来編のシナリオは原始編と共に井上信行氏が担当、演出を時田貴司氏が担当する中で、島本先生の熱さが加わり、「島本イズムと井上イズム、時田イズムが組み合わさって仕上がった」とある。
以下でも何度も名前が登場するとおり、島本先生はSFC版から28年が経過したリメイク版でも様々な形で本作に関わっている。
当初は同人誌であった近未来編のコミカライズは、現在ではスクウェア・エニックスから公式にコミックスとして発売されるに至っている。リメイク版には、コミカライズからオープニングやブリキ大王の技のモーションが逆輸入されている(しかも島本先生は逆輸入されたことをリメイク版プレイまで知らなかった模様)。
他にも開発に関わった側のルポ漫画としての「燃えよペンRRR」「吼えろペンRRR」も興味深いところ。「燃えよペンRRR」では近未来編キャラのラフデザインも見ることができる。
以下の漫画は現在、電子書籍版でも読むことが可能。

近未来

本作における近未来は「SFC版が発売された1994年から見て近未来」であり、上に記した通り「過去の人々が思い描いていた未来」、つまりレトロフューチャー感あふれる、想像上の近未来である。
といっても、SFC版取扱説明書で「最新テクノロジーと下町情緒が同居するような町」が舞台とされていることからもわかる通り、1994年当時の文化も混在している。
SFC版取扱説明書では、近未来編の舞台を「2010年」としているが、ゲーム本編では筑波研究所の最奥のコンピュータを調べると液体人間W1号の型番が「TYPE-2014」と設定されている。つまり「2014年型」ということなので、近未来編の舞台は「2014年(以降)」ということになり、取扱説明書と食い違いが生じている。
ただしSFC版取扱説明書の記述にはいくつかミスらしきものがあるため、取扱説明書が表記をミスした可能性もあるし、取扱説明書を作った後にゲーム内のテキストを修正したなどの可能性もあるため、どちらが正しいかはわからない。
インターネットでは、舞台は2014年で、アキラの幼少時の回想が2010年という考察もあったりする。
リメイク版ではゲーム内の「TYPE-2014」がそのまま残されている。
そしてリメイク版の発売は2022年なので、2010年も2014年も追い越してしまったが、それでも近未来編は近未来編としてそのまま収録されている。
リメイク版では、ちびっこハウスの屋根の上にパラボラアンテナがあったり、室内のテレビがワイド型に変更されているなど、2022年では当たり前だがSFC版では想定されていなかった「近未来」が描かれている。
一方で、筑波研究所内のパソコンはやや古臭いように見えるし(フロッピーディスクドライブっぽいものがある、ディスプレイがブラウン管モニターっぽい、など)、現実の2010年代には普及している携帯電話・スマートフォンは一切存在していないなど、レトロフューチャー感はリメイク版でも多数残されている。

AKIRA

大友克洋氏によるSF漫画(1982年~1990年連載)。漫画のみならず、1988年のアニメ版映画のクオリティの高さも話題になった。
タイトルの「AKIRA」そのものが近未来編主人公「アキラ」の名前である他、舞台は近未来、題材のひとつが超能力、主人公・金田のバイク関係の描写、反政府ゲリラと警察・軍の衝突、超能力を研究する研究所……と、近未来編の元ネタが数多く含まれている。
また「カオリ」という登場人物も存在している。

超能力

超能力 - Wikipedia

「AKIRA」と合わせて、「超能力」について説明しておく。
アキラが使う「テレパシー(精神感応・読心術)」「テレポート(瞬間移動)」は、フィクションにおける超能力描写でも定番である。
戦闘における「○○イメージ」系の技は「思念」によるものだとゲーム内での技の説明にあるが、これらは「精神感応」に分類される能力と思われる。
オープニングでは「手をふれず物を動かす力」もあるとアキラが述べているので、「サイコキネシス(念力・念動力)」も使えるようだが、ゲーム内では披露する機会はなかった。リメイク版のアキラのイラストでは、左手で文房具類を浮かせる形で念力を見せている(公式サイト)。

日本のサブカルチャーにおいては、「AKIRA」と、1983年のアニメ映画「幻魔大戦」の2作品が、超能力の描写に多大な影響を与えている。
「幻魔大戦」については最終編解説でも触れているので参照していただきたい。

アキラの技名については、既存の超能力の名称ではなく、「○○イメージ」のようにオリジナルの名称が使われている。
使われている単語自体は、「フレーム」「フリーズ」「ヒール」など、どちらかといえばRPGの魔法っぽいので、わかりやすさを優先したのだろうか。
(とはいえ、最初から使える超能力が「マザーイメージ」だったりと、どういう技かやや想像しにくいネーミングだったりもするのだが。その次の「スリートイメージ」も英語に詳しくないとピンとこないが、おそらく「脅威」を意味する「threat」だろう)
最強技の「ホーリーイメージ」は、ファイナルファンタジーシリーズでも最強の白魔法に設定されている「ホーリー」が名称に使われており、「ホーリーブロウ」共々、強めに設定された技だとわかりやすくなっている。
なお、時田貴司氏は反撃技の「ホーリーゴースト」について以下のようにコメントしている。

近未来編ではブリキ大王搭乗前にゲームオーバーになると、アキラに何か起きたことをカオリが察知したようなシーンが見られるが、これも兄妹の母親からの影響なのかもしれない。

敵の黒服などが使う「PK砲」は、「サイコキネシス(psychokinesis)」の省略形「PK」からであろう。
他にも「サイコアルファ」など「サイコ(psycho)」が付くスキルが存在しているため、筑波研究所や陸軍では超能力の研究も行われ、しかも実用化されているということになる。液体人間の技術もその中に含まれるのだろう。
籐兵衛のセリフや「マタンゴ」の効果、おそらくマタンゴ由来の回復アイテム「マタンゴライト」をクルセイダーや黒服がドロップすることなども合わせて考えると、近未来編の世界では精神の力や超能力の類は一般的ではないが珍しくもない、というあたりなのだろうか。

「マジンガーZ」シリーズ

「マジンガーZ」シリーズは、永井豪とダイナミックプロ原作の漫画・アニメその他メディアミックス作品であり(初代は漫画・アニメ共に1972年開始)、日本の巨大ロボットアニメに多大な影響を与えた。ロボットアニメのオマージュを多数含む近未来編ももちろん、「マジンガーZ」の影響を受けている。
パイロットがロボットに乗り込み操縦し、必殺技を叫び、強大な力で悪に立ち向かうというスーパーロボットもののフォーマットは「マジンガーZ」で生まれ、同作品内でほぼ確立しており、本作にも反映されている。
(厳密にはマジンガーZの場合、「小型飛行メカにパイロットが乗り込み、そのメカがマジンガーZの頭部にドッキングする」方式なので、「ロボット内部にパイロットが乗り込む」とは少し異なるのだが、いずれにしても遠隔操作ではなく直接ロボットに乗って操縦するという仕組みを生み出したのはやはりマジンガーZと考えて良いだろう)

ブリキ大王の主題歌「GO!GO!ブリキ大王!!」の2番には「神か悪魔かその姿」という歌詞があるが、「マジンガーZ」は設計者の兜十蔵博士に「神にも悪魔にもなれる力」(=操縦者もまた、神にも悪魔にもなれる)と言われている。
2番の作詞は、近未来編デザイン担当の島本和彦先生だが、御本人も「あの2番は最初マジンガーリスペクトしすぎだが(笑)!!」とコメントしている。
X - 漫画家島本和彦 @simakazu(2010年8月27日)

近未来編冒頭で、アキラが黒背景に目だけでプレイヤーに語りかけてくるが、漫画「マジンガーZ」第1話冒頭のオマージュである。下の試し読みで確認可能。

マジンガーZ 1巻 - 永井豪 - ebookjapan

永井豪氏の漫画作品ではこのように、いわゆる第四の壁を越えて読み手に語りかけるメタ演出がしばしば見られるが、リメイク版では更に、近未来編のTIPSがすべてアキラによる一人称での語りになるというメタ演出が追加されている。
近未来編自体、ラストバトル終了まで「アキラの回想」という形式になっているため、TIPS含めアキラの語りというようにも取れる。

公園の池の水を割ってブリキ大王が出現するのは、アニメ版などでのマジンガーZの登場シーンから。
アニメ版では第1話冒頭(オープニングの最初)から、光子力研究所横のプールの水を割って現れるマジンガーZが見られる。
東映のアニメーションチャンネルでも第1話を見ることが可能。

【公式】マジンガーZ 第1話「驚異のロボット誕生」 <1970年代アニメ> - YouTube

初代アニメ「マジンガーZ」で主人公の兜甲児の声を担当したのは、功夫編の心山拳老師の声を担当した石丸博也氏であり、2009年に放送された「真マジンガー 衝撃! Z編」で兜甲児の声を担当したのは、近未来編のアキラの声を担当した赤羽根健治氏である。
「真マジンガー 衝撃! Z編」の冒頭では、漫画「マジンガーZ」第1話冒頭がほぼ再現されている。
第1話のみ無料で見られる配信サイトもいくつかあるので参照のこと。

真マジンガー 衝撃!Z編 第1話| バンダイチャンネル

といった経緯があるため、ブリキ大王搭乗時のアキラのボイスは、技名の叫び方などに真マジンガー版甲児っぽい雰囲気がある(おそらく意図した演出だろう)。
ブリキ大王での戦闘中、アキラによる技名ボイスにエコーがかかっているのも、「マジンガーZ」リスペクトである。
そのあたりの赤羽根氏本人の裏話は、杉田智和氏のYouTubeチャンネルのライブアライブ実況に赤羽根氏がゲストで登場した回で聞くことができる。

「ゲッターロボ」シリーズ

「マジンガーZ」と同じくダイナミックプロ原作のロボット漫画・アニメ「ゲッターロボ」(漫画・アニメ共に1974年開始)があるが、OVA版(1998年~)以降の主人公・流竜馬の声は、無法松の声を担当する石川英郎氏。
「ゲッターロボ」は合体・変形ロボット作品の元祖とも言われており、「マジンガーZ」と合わせ、日本のロボットアニメの祖及びその派生作品の主演声優が近未来編に採用されたのは意図した演出であろう。
また、流竜馬がメインパイロットであるゲッター1は機体の色が赤いが、無法松のバイクの色は赤という共通点もある(なお流竜馬は、黄色と赤が基調のサイドカーに乗っている)。
SFC版では初登場時に「ハーレーの男」と表記されており、アメリカのオートバイ「ハーレーダビッドソン」(ハーレーダビッドソン - Wikipedia)のことと思われるが、リメイク版では商品名を出すのは問題があったのか、「バイクの男」と表記されている。

SFC版攻略本によると、「GO!GO!ブリキ大王!!」の作曲時、下村陽子氏は時田貴司氏に「ゲッターロボみたいなのがいいと言われ、カラオケに連れていかれて延々聞かされた」とのことである。ささきいさお氏が歌う主題歌「ゲッターロボ!」のことであろう。
同じエピソードは島本和彦先生の漫画「燃えよペンRRR 1993「LIVE A LIVE」制作記録編」内でも語られている。
「GO!GO!ブリキ大王!!」が「ゲッターロボみたいな」感じになったかどうかは、下の東映のアニメーションチャンネルで見られる第1話冒頭の主題歌でご確認を。

【公式】ゲッターロボ 第1話「無敵! ゲッターロボ発進」 <1970年代アニメ> - YouTube

石川英郎氏が担当したOVA版のゲッターロボシリーズは、1話のみなら無料で見られる配信サイトもいくつかある。

「GO!GO!ブリキ大王!!」の歌詞については、1番を時田貴司氏が作詞しており実際のゲーム内でも表示され、リメイク版では影山ヒロノブ氏の熱唱を聞くこともできるが、2番については1994年7月に週刊ファミコン通信(現在の週刊ファミ通)で募集したところ、島本和彦先生がごく普通にはがきで歌詞を応募し、2番に丸ごと採用されたという経緯がある。また、3番は他の当選者の歌詞を合わせている。
このため、リメイク版のCDではクレジットに「作詞:時田貴司、ファミ通読者のみなさん feat. 島本和彦」と表記されているのである。
詳細はリメイク版「ライブアライブ」を特集した「週刊ファミ通(2022年8月4日号)」(※Kindle版配信中)の特集記事や、島本先生による漫画「超級!! ライブアライブ近未来編」に収録のおまけ漫画を読んでいただきたい。

鉄人28号

「マジンガーZ」「ゲッターロボ」がブリキ大王の乗り手の元ネタなら、ブリキ大王自身のビジュアルの元ネタは横山光輝氏の漫画、かつ原作の特撮・アニメ「鉄人28号」(漫画:1956年~、特撮:1960年、アニメ:1963年~)であろう。
「鉄人28号」は「マジンガーZ」にも影響を与えた、日本の元祖巨大ロボットと言っても過言ではない。
鉄人28号の丸っこいフォルムや各部パーツ、背面の2機のロケット、全体的な色味などはブリキ大王に反映されている。
また、先に上げた漫画「AKIRA」には、「鉄人28号」のオマージュが多数含まれているという点にも注目。

タイガーマスク

「タイガーマスク」は、原作・梶原一騎氏、作画・辻なおき氏の格闘漫画であり、漫画を元としたテレビアニメもあるメディアミックス作品(漫画:1968年~、アニメ:1969年~)。
主人公であり孤児の伊達直人は、孤児院「ちびっこハウス」で育つが、色々な経緯で悪役レスラー「タイガーマスク」として顔を隠し活躍することとなり、正体を隠したまま「ちびっこハウス」を援助している。「ちびっこハウス」の職員であるルリ子はそんな直人に淡い恋心を抱いている。
……というあらすじからわかる通り、近未来編の児童養護施設「ちびっこハウス」、職員の妙子、無法松の関係の元ネタとなっている。

後に実在のプロレスラーのタイガーマスクも登場したが、これはテレビアニメ「タイガーマスク二世」とのタイアップ企画からである。

タイガーマスク (プロレスラー) - Wikipedia

実在のタイガーマスクも覆面のプロレスラーとして活躍しており、その正体については上のWikipediaなどで記されている通りである。
2代目についてはこの後のプロレス関係のネタでも紹介する。

仮面ライダー

クルセイダーのモチーフが「ショッカー」をはじめとする仮面ライダーシリーズの戦闘員、アキラや無法松のバイク、「ライダーブーツ」や「ライダーベルト」といったアイテムなどは特撮テレビドラマ「仮面ライダー」シリーズが元ネタ。初代の放送は1971年~1973年。
リメイク版では「ライダーベルト」の説明に「毎年新作が出るカッコいいベルト」とあり、毎年「仮面ライダー」シリーズ新作が放映される度に関連玩具(ここでは明らかに「変身ベルト」のことだろう)も発売されていることがネタにされている。

仮面ライダー1号・2号・V3が集結!変身ポーズ生披露にファン歓喜! 藤岡弘、佐々木剛、宮内洋が“昭和ライダー”の絆を語る『KAMEN RIDER FILM ARCHIVE SPECIAL NIGHT』 - YouTube

SFC版の無法松の戦闘中のモーションには、「仮面ライダー」の変身ポーズっぽいドット絵が含まれている(正面向きで右手を斜め左上に上げるポーズ、上動画も参照)。「イナズマアッパー」使用時などで見られる。リメイク版だとアッパー時は体をひねるのであまり変身ポーズっぽくはない。
また、藤兵衛の名前は「仮面ライダー」に登場する立花藤兵衛からと思われる。
他にはブリキ大王の「バベルノンキック」は、モーションや技を出せる方向からして、高く跳躍してから斜め下方向への飛び蹴りを行う「ライダーキック」が元ネタであろう。

無法松やアキラがバイクに乗っているのは「仮面ライダー」「AKIRA」などが元ネタになるだろうが、昭和中期~後期のバイクブームも背景にあると思われる。
初代「仮面ライダー」(1971~73年)と同時期にアニメを放送していた「マジンガーZ」(1972~74年)においても、主人公の甲児、ヒロインのさやか、コメディリリーフで友人のボス・ヌケ・ムチャの三人組も皆バイクに乗っていた。「マジンガーZ」から少し遅れて放送を開始した「ゲッターロボ」(1974年~1975年)も、流竜馬がサイドカー、ゲッター2のパイロット・神隼人がバイクに乗っている。
ロボットアニメの主人公たちはロボットに乗るだけではなく、バイクに乗る姿もまたかっこいい、という当時の子どもたちの憧れが、アキラや無法松にも反映されているのだろう。

プロレス関係

プロレス - Wikipedia

序盤でちびっこハウスのテレビを調べた時にプロレスの試合が始まるが、実況内に登場する「ミサワ」「ムトー」はそれぞれ実在のプロレスラーが元ネタ。
アイテム「ミサワ焼き」もミサワからである。
また、プロレスは「格闘技を基にしたエンターテインメント」の側面があるが(上のWikipediaの「プロレス」記事内、「基本事項 > ショー的側面」を参照のこと)、本作におけるメタ表現や演出にも通じる部分がある。

「ミサワ」

「ミサワ」は全日本プロレス四天王のひとりでありエースの三沢光晴氏から。
SFC版発売の1990年代、全日本プロレス四天王時代とも呼ばれる黄金期を支えた。
前述の通り、1984年~1990年は2代目タイガーマスクとしても活躍。

「ムトー」

武藤敬司 - Wikipedia

「ムトー」は新日本プロレスで活躍した闘魂三銃士のひとりでありエースの武藤敬司氏から。
SFC版発売の1990年代は闘魂三銃士・全日本プロレス四天王が日本のプロレス界における象徴であった。
また、ペイントレスラー「グレート・ムタ」でもある。
リング下に潜り込んで出てこないこと(ムタがよく見せた反則技)や、「ムトーの顔面にペイントッ!」はグレート・ムタが元ネタ。
この「グレート・ムタ」は、現代編の「グレート・エイジャ」の元ネタでもある。詳細は現代編での元ネタ解説を。

諸々の事情により、三沢光晴氏と武藤敬司氏によるシングル・マッチ(一対一での対戦)は叶わなかった(タッグ・マッチでの対戦はある)。
つまり、テレビを調べた時のプロレスの試合は、プロレスファンにとってはセリフ通りの「全国プロレスファン待望の一戦」だったのである。

装備品「獣神シャツ」

獣神サンダー・ライガー - Wikipedia

プロレスラー「獣神サンダー・ライガー」から。
SFC版ディレクター&シナリオ担当でありリメイク版プロデューサーの時田貴司氏は獣神サンダー・ライガーのファンであり、幕末編の強藩士の固有名称のひとつ「時田 獣神丸」の元ネタにもなっている。

なお、プロレスラー「獣神サンダー・ライガー」のグッズとしての「獣神(サンダー・ライガー)シャツ」も実際に存在している。

獣神ライガー - Wikipedia

プロレスラー「獣神サンダー・ライガー」は、1989年~1990年放送のロボットアニメ「獣神ライガー」とのタイアップ企画で生まれたが、ブリキ大王が「スーパーロボット大戦DD」に参戦した際には、既にスパロボDDに参戦していた「獣神ライガー」キャラたちとの共演も果たしている。
アニメ「獣神ライガー」の原作は「マジンガーZ」などの永井豪氏である。

余談になるが、プロレス中継を最後まで見ると、ナットウエキスたっぷりの「ミトひきわりシャンプー」のCMが流れる。
もちろん架空の商品であり、「納豆のシャンプーなんてないだろう」と、プレイヤーに突っ込んでもらうためのネタだろう。
だが、実は納豆菌が作る物質を利用したシャンプーは実在しているようで、検索するといくつかそれらしき商品が見つかる。
SFC版発売当時にこれら商品が存在していたかどうかまではわからない。
なお、「ミトひきわりシャンプー」の「ミト」は、納豆の名産地、茨城県水戸市からだろう(水戸納豆 - Wikipedia)。
さらなる余談だが、ひきわり納豆は東北地方で好まれており、水戸納豆の産地・茨城県ではひきわりより小粒が好まれるようだ。

キャラクターの名前&漢字表記

近未来編の味方キャラの名前と由来、そして漢字での表記について記す。
藤兵衛については上の「仮面ライダー」の項目を参照。

アキラ

近未来編主人公・アキラについては、いくつか由来があると思われる。

  • 上で紹介した通り漫画「AKIRA」から(妹のカオリも含む)
  • 永井豪氏原作の漫画「デビルマン」(1972年~1973年連載)の主人公の「不動」から(「デビルマン」についての詳細は中世編解説を参照)
  • プロレス関係の項目で紹介した、全日本プロレス四天王のひとり「田上明(たうえあきら)」氏(アキラのフルネームである「田所晃(たどころあきら)」の元ネタの可能性がある)
タロイモ

カオリが「タロキチ」と名付けたカメが、籐兵衛に勘違いされ、流体アンドロイドとして生まれ変わった際に「タロイモ」と名前を変えられてしまった……というオチ以上の説明は特に必要がないとは思うが、一応豆知識程度に。

タロイモ - Wikipedia

上の通り、「タロイモ(英語: taro)は、サトイモ科の植物のうち、根茎を食用とするために栽培されている栽培種の総称。」である。
このためか、日本では里芋=タロイモと扱われていることもあったり、里芋は日本産でタロイモは東南アジア系の里芋の一種、と扱われていたりもする。

雷電爲右エ門 - Wikipedia

「タロキチ」こと「太郎吉」は、現代ではあまり見かけない男性名だが、日本史上有名なのは江戸時代の力士・雷電(らいでん)爲右エ門(ためえもん)、本名・関太郎吉か。大相撲史上未曾有の最強力士と言われている。
タロイモは一応、ふんどし姿なので、力士と共通する部分があるといえばある。「脳天ショート」で電撃を放つので一応「雷電」要素もある。
なお、ロボットアニメ「勇者ライディーン」の名前は「雷電爲右エ門」から取られている。主人公の名前が「洸(あきら)」で、超能力でロボットを動かすなど、近未来編との共通点があるアニメである。

タロイモ唯一の武器「ボウリングだま」(SFC版は「ボーリングだま」)だが、日本では1970年(昭和45年)前後にボウリングブームがあり、こちらも昭和ネタと思われる。
スポーツの「ボウリング」の綴りは「bowling」で、日本では「ボウリング」表記が一般的である。「ボーリング」だと地盤調査や掘削作業のボーリング(boring)と勘違いされてしまうので、リメイク版で名称が変更になったのだろうか。

無法松

無法松の一生 - Wikipedia

「無法松の一生」は、岩下俊作氏が1938年に発表した小説(当初は「富島松五郎伝」のタイトルで発表)、後に「無法松の一生」のタイトルで何度も映画化や舞台化された作品。楽曲も存在する。
タイトル通り「無法松」の名前の元ネタになる。
「無法松」は通称で、本名が別にあるという点も元ネタと共通。ただし本名自体は元ネタと本作では別ものになる。
また、「無法松の一生」の主人公である無法松と、本作の無法松の生き様には少なからず通じるものがある。

ミニゲームで無法松のたい焼き屋の手伝いができるが、この時は100円からぼったくりな10,000円まで、価格を好きに決めて商品を売ることが可能である。
リメイク版収録の英語版では、この価格の単位が「yen」、つまり日本円のままで、ドルに変更されていたりはしない。あくまでも昭和っぽい近未来の日本が舞台という設定らしい。

無法松の本名「マツイ ケンイチ」の元ネタは不明。「無法松」を先に決めてからの命名だろうか。

キャラクターの名前の漢字表記

アキラの名字はゲーム内では筑波研究所で「タドコロ」だと判明するが、アキラの名字&名前の漢字表記「田所晃」は、SFC版取扱説明書に掲載されているのみで、ゲーム内ではSFC版・リメイク版ともに表示されない。
2024年に「スーパーロボット大戦DD」にブリキ大王が参戦した際には、アキラはシナリオ中で「田所晃」と自己紹介している。

アキラだけではなく、近未来編のキャラクターは日本人でもカタカナ表記であることが多く(「AKIRA」オマージュに加え、近未来感の演出のためだろう)、漢字ではどう表記するのかわからない場合が多い。
アキラ以外について、SFC版の時点で(ゲームでは登場しないが内部資料として)漢字表記が決められていたのかどうかも不明。
リメイク版は日本語以外の言語もローカライズされて収録されているが、中国語版だと近未来編のキャラクター名も漢字で表記されているため、参考までにここに掲載しておく。
以下は中国語繁体字版での表記であるが、日本語の漢字は書体(フォント)が異なると同じ漢字でも見た目が変わり、以下で紹介する名前は日本語フォントと中国語繁体フォントとでは表示が異なって見える場合がある(たとえば、「香織」の「織」の糸へん表示)。当ウェブサイトは日本語圏の方向けに日本語フォントで表示するよう設定してあるので、通常は日本語の漢字で表示される。

※「晃」は近未来編主人公の中国語簡体字 / 中国語繁体字版でのデフォルトネーム

日本語版中国語繁体字版
タドコロ アキラ田所 晃
タドコロ カオリ田所 香織
タドコロ タダシ田所 忠
マツイ ケンイチ松井 健一
ワタナベ コウゾウ渡邊 皓三

「香織」の「織」の糸へん表示の例は下の繁体字版スクリーンショット参照。

漢字についてzoom_in

ブリキ大王

近未来編における「主役ロボット」ポジションであるブリキ大王は、ここまででも紹介した通りに、「マジンガーZ」「ゲッターロボ」「鉄人28号」といった元祖スーパーロボットの様々な要素を元ネタとしている。 ここでは名前の由来について説明、というよりは考察を記しておく。

「ブリキ」そのものについては上の説明などを参照。
オランダ語「blik(板金)」が由来と言われており、鉄鋼をスズ(錫)で表面処理(メッキ処理)した金属板のこと。スズメッキを「ブリキ」と呼ぶのは日本のみであり、例えば英語だと上のようにスズ(tin)から「Tinning」という。
リメイク版収録の英語版だと「ブリキ大王」は「The Steel Titan(鋼の巨人)」という名称になっている。
金属をスズでメッキしサビから守る、という習慣はかなり古くからあり、英語版Wikipediaによれば、古代ローマの大プリニウス(ガイウス・プリニウス・セクンドゥス、西暦23年?~79年?)は、ガリア人のビトゥリゲス族(現在のフランス・ブールジュ近郊に居住)によってスズメッキが発明された、としている。またその製法については西暦300年頃にローマ帝国時代のエジプトで書かれた錬金術に関する著作にも記されているとのことである。
日本大百科全書(ニッポニカ)には、「紀元後25年に鉄器にスズめっきが施されていた」とあり、英語版Wikipediaの大プリニウスの記述を元としていると思われる。
ただしその後は、13世紀~14世紀頃までスズメッキに関する記録はない。
日本大百科全書には「スズめっきが近代技術として発達を始めたのは13世紀のボヘミア地方においてであるといわれる」とあるとおりに、技術として記録が残るようになったのがこの13世紀~14世紀頃であるらしい。
設定上は「古代バビロニアの聖人が動かしていた」とされるブリキ大王であるが、古代バビロニアの時代は紀元前であり、地域も異なることから、ブリキが存在していたかというと怪しいところである。
(ブリキの有無はさておき、そもそも紀元前の頃に鉄だけで巨大ロボットを作ること自体、架空の超文明という設定でない限り無理であろう。このページ下の「バビロニア」の項目も参照していただきたい)

ブリキのおもちゃ - 昭和のおもちゃミュージアム

推測ではあるが、「ブリキ大王」という名称自体は、昭和の初期から中期にかけてのいわゆる「ブリキのおもちゃ」が由来の可能性が考えられる。
日本では大正時代から国内でのブリキ製造が開始となり、玩具も作られるようになった。ブリキのロボットが生まれたのは昭和初期の頃で、スーパーロボットが次々生まれた1960~70年代くらいまでブリキのおもちゃ・ロボットが製造されていたようである(その後はプラスチック製品が台頭していく)。
メタ的に「昭和」ネタの範疇で考えると、「ブリキ大王」は、「昭和」の「ロボット」といえばブリキのおもちゃという発想からの命名ではないだろうか。つまり昭和という時代を象徴する言葉としての「ブリキ」であり、必ずしもブリキ大王の素材を指しているのではないのではないか。

島本先生の漫画「燃えよペンRRR 1993「LIVE A LIVE」制作記録編」では、ブリキ大王のデザインについて、「箱に入ったおもちゃのイメージではなく、箱に描かれたイメージ絵を描く」と述べており、「ブリキのおもちゃ」的なイメージがデザインの根底にもある模様。
後に島本先生はリメイク版「ライブアライブ」発売時、「コレクターズエディション」付属の「ストラクチャーアーツ ブリキ大王」の箱絵を描いている。

リメイク版ではSF編のカトゥーの私室に「ブリキ製の年代物のロボットのおもちゃ」(リメイク版の英語版でははっきりと「Steel Titan(ブリキ大王の英語版)」と明記)が置かれており、メタ的な意味の昭和ネタ説が補強されたのではないだろうか。

スペック

全長:19メートル
全幅:13メートル
重量:14.356トン
生産地:古代バビロニア
動力:精神エネルギー

ロボットもののお約束として、ブリキ大王についてはスペックや技の仕様について、ゲーム内では表示されないものの上のように細かい設定が存在しており、SFC版攻略本に掲載されている。
また、リメイク版「ライブアライブ」を特集した「週刊ファミ通(2022年8月4日号)」には、1994年当時のファミコン通信の紹介記事の縮小版が掲載されており、ゲーム雑誌にもブリキ大王のスペックが掲載されていたことがわかる。
(ちなみに同記事には「古代バビロニアにブリキが存在したのかは不明。ま、気にしない気にしない」というツッコミがある)

重量についてだが、小学館の攻略本だと「14356トン」、NTT出版の攻略本及び、上記のファミコン通信の記事では「14.356トン」となっている。
小数点の位置が異なると随分と話が変わってしまうのだが、リメイク版発売前に公式Xが以下のようにポストしているので、「14.356トン」が正しいのであろう。2024年に「スーパーロボット大戦DD」に参戦した際のブリキ大王のデータでも「14.356トン」である。

ちなみに、鉄の密度は室温付近で7.874 g/cm3 = 7874 kg/m3である。
19メートル×13メートルで厚み1センチメートル(0.01メートル)の鉄の板があったとして、その重量は
19×13×0.01×7874 = 19448.78kg = 19.44878トン
ということになる。
このサイズのブリキの板(スズメッキを施した鉄)を加工したらブリキ大王の外装くらいは作ることができるかもしれないが、だとしてもその時点で設定の14.356トンを越えてしまう。しかも実際には、内部には部品が詰まっているはずである。

と、わざわざ計算してみた理由は一応ある。

超電磁ロボ コン・バトラーV - Wikipedia

1976~1977年放送のロボットアニメ「超電磁ロボ コン・バトラーV」では、エンディングテーマで主役ロボットのコン・バトラーVについて「身長57メートル 体重550トン」というフレーズがあった。
ブリキ大王よりはかなり重い設定だが、これでも密度が鉄よりもかなり低い物質(密度が低い金属・アルミニウムよりもっと低い)で作られていないと辻褄が合わないのである。
昭和の時代の初期ロボットアニメは「コン・バトラーV」だけでなく、相当密度の低い金属で作られていないとおかしいロボットが多く存在していた。
たとえば初代「マジンガーZ」も「全長18メートル、重量20トン」と、材料が架空の金属「超合金Z」とはいえ、コン・バトラーV以上に軽い(密度が低い)。
マジンガーZの場合は架空の金属「超合金Z」、他にはガンダムシリーズだと軽量合金「ガンダニウム合金」が使われているのでやはりかなり軽量である、という説明がされている。
そして「マジンガーZ」の全長と重量はブリキ大王に比較的近く、おそらくブリキ大王の重量も昭和のロボットアニメのロボットのスペックを参照して決められたと思われるのだが、「ブリキ」というだけあって素材が鉄であるというのなら軽すぎる。
……そのあたりは「昭和のロボットアニメリスペクト」ということで、あまり気にしてはいけないのかもしれない。

SFC版攻略本には、ブリキ大王の各技のスペックも掲載されている。

  • メタルヒット
    放出エネルギー:62万ダイオード
    連発数:1~4発
    発動時間:0
    出力レベル:1
  • バベルノンキック
    放出エネルギー:102万ダイオード
    連発数:1~3発
    発動時間:0
    出力レベル:8
  • ジョムジョム弾
    放出エネルギー:18万ダイオード
    連発数:1~10発
    発動時間:0
    出力レベル:6
  • ハロゲンレーザー
    放出エネルギー:126万ダイオード
    連発数:1発
    発動時間:2
    出力レベル:1

これらスペックの値は実際のSFC版のゲーム内データに基づいている。
SFC版攻略の技の説明などを参照していただきたいが、「放出エネルギー」は『LV差係数』に2を加えて「万ダイオード」を付けた値、連発数は『最大連発数』、発動時間は『発動時間』を16で割った値(要するに発動までのターン数)、出力レベルは『技LV』の値である(ただし「メタルヒット」「ハロゲンレーザー」の技LVは0と設定されているので、格好がつかないからか、スペック上は「1」としてある)。
SFC版は攻略本でも、敵味方キャラの細かいデータは公開されていないのだが、唯一ブリキ大王だけは公式で数値が明らかになっているということになる。といっても、この数値から『LV差係数』やら『技LV』の仕様まで読み取ることは不可能であるが。
なお、「ダイオード」は電子素子の名称、つまり電子機器の部品であり、何らかの単位ではない。電圧をかけると光を発するダイオード、「発光ダイオード(LED)」からのイメージだろうか。

リメイク版ではブリキ大王のモーションに力が入っており、各技にそれぞれ専用のドット絵とモーションが存在する。前述の通りに漫画「超級!! ライブアライブ近未来編」から逆輸入された技のモーションも含まれている。

技の名称の元ネタ

「メタルヒット」「バベルノンキック」については英語そのままの意味と考えて良いと思われる。
「バベルノン」についてはこの後の「バビロニア」の解説を参照のこと。

ハロゲンレーザー

「ハロゲンレーザー」の名称は、電気ストーブの「ハロゲンヒーター」のパロディかダジャレの可能性があるが、「ハロゲンヒーター」が登場したのは1989年で、普及はもっと後のため、SFC版発売時期に「ハロゲンヒーター」を元ネタとして「ハロゲンレーザー」が生まれたかどうかは微妙なところ。
「ハロゲンヒーター」は発熱体に「ハロゲンランプ」(電球内部に不活性ガスとヨウ素や臭素などのハロゲンガスを微量封入したもの)を用いたヒーターのこと。
「ハロゲンランプ」は1960年代頃から車のヘッドライトなどに用いられていたので、「ハロゲンランプ」が元ネタの可能性の方が高いだろうか。

レーザーについて詳しくは調べていただきたいが、とても簡単にいえば「光を増幅する仕組み、またはその光そのもの」をレーザーという。
その「増幅する仕組み」の中に「媒質」という増幅用の物質があるのだが、「媒質」にはルビーなどの固体から、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガスなどの気体まで、用途により使い分けがされる。「媒質」に希ガスやハロゲンを用いて紫外領域のレーザー光を作り、微細加工や医療技術に用いられている例もある(「エキシマレーザー」で検索してみると良い)。
つまり「ハロゲン(を利用した)レーザー」は実在しているが、兵器としてではない。
SFC版攻略本には「ハロゲンレーザー」の説明に「全身のルビーから光を放つ」とあり、リメイク版のモーションでも腕部分の赤く光るパーツからレーザーが出ているため、ルビーを媒質としたレーザーという可能性もある(ハロゲン要素がなくなってしまうが)。

といった現実での話はさておき、創作物でのレーザーは、本作はじめSFアニメなどでは兵器としてもおなじみ。
キューブの技「メーザーカノン」の「メーザー」と「レーザー」は何が違うのかだが、光領域(人間の目にも見える可視光線など)の光を増幅するのが「レーザー」で、携帯電話用の電波や電子レンジにも使われているマイクロ波を増幅するのが「メーザー」である。

ジョムジョム弾

拡張弾頭 - Wikipedia

「ジョムジョム弾」の由来ははっきりしないが、名称については、拡張弾頭の通称名「ダムダム弾」が元になった可能性がある。
拡張弾頭とは、「着弾時の衝撃によって変形し、直径が拡張(扁平)するように設計された弾丸」のこと。
西部編の「ホローポイント弾」も拡張弾頭の一種である。
「ダムダム弾」という名称は、英領インドのカルカッタ近郊にあったダムダム工廠で発明されたことにちなんでいる。
上でも説明があるが、現在は戦時における拡張弾頭の使用を禁じている。ただし狩猟や警察の現場では使用されることもある。

ゲーム内の「ジョムジョム弾」の説明によると、SFC版では「藤兵衛じまんの爆裂弾」、リメイク版では「藤兵衛自慢の爆弾を投下する」とあるため、藤兵衛が後付けでブリキ大王に搭載した兵器の可能性が高い。
だが、SFC版攻略本だと「精神力を巨大な爆弾にかえて敵を撃破」(NTT出版)、「精神力で放つ弾」(小学館)とあり、特に前者だと藤兵衛とは無関係になってしまう。後者なら籐兵衛が搭載した爆弾を精神力で撃ち出すということになるが。

マルドゥク - Wikipedia

リメイク版収録の英語版では、「ジョムジョム弾」が「Marduk's Rage(マルドゥクの怒り)」となっている。
マルドゥク(Marduk)は古代メソポタミア神話におけるバビロンの都市神でバビロニアの国家神。英語版では日本語版における「古代バビロニアの聖人が動かしていた」という設定から、バビロニア関係のネタをブリキ大王に取り入れた、ということになる。

戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー - Wikipedia

英語版の話のついでになるが、海外(アメリカ)において、同じく昭和ごろのロボットアニメというと「トランスフォーマー」シリーズの初代アニメ「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」が放送されたのが1984年からである(日本では1985年から放送開始)。
近未来編の中盤あたりで、アキラがブリキ大王を動かそうとして失敗するイベントが起こる。日本語版ではスイッチなどを調べるたびに、アキラが「動け…! ブリキ大王ッ…!!」と念じるが、この時英語版ではアキラのセリフが「Let's roll out!」であり、これはアニメ「トランスフォーマー」でオプティマス・プライム(日本語版だとコンボイ)が出動の時によく叫んでいるセリフ(Roll out!)と同じだと指摘する海外の声があるようだ。
近未来編の元ネタの多くに日本のロボットアニメが含まれるが、英語版でもそれに合わせてアメリカで有名なロボットのネタを入れてきたのではないだろうか。
なお「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」は、アニメの作画などを日本で手掛けており、日米合作ともいえる作品である。

バビロニア

ブリキ大王は古代バビロニアの聖人が動かしていた、という設定だが、バビロニアは紀元前から文明が存在した現代のイラク南部地域のこと。
作中ではバビロニアを超古代文明のように扱っているのだが、実際の歴史ではそのような事実はないので、おそらく本作における「古代バビロニア」は史実の名称を元とした架空の文明のことであろう。

「バビロニア」については、旧約聖書など、バビロニアの都市バビロン(ヘブライ語名称でバベル)にまつわる伝承を扱っている古典が数多く存在している関係で、たとえば「バベルの塔」のように、サブカルチャーに登場するネタが数多い。
バビロニアの時代に成立した古代メソポタミアの文学作品「ギルガメシュ叙事詩」もよくサブカルチャーの元ネタにされるが、本作とは特に関係がない(「ファイナルファンタジーV」では敵の名前などの元ネタとして多数登場する)。
余談になるが、「ファイナルファンタジーIV」には「バブイルの塔」が登場する。
これはバビロンの名称が「神の門」を意味する「バブ・イル(Bab-Il)」から来ているという説を元にしていると思われる。

バビル2世 - Wikipedia

「バベルの塔」関係では、横山光輝氏による漫画「バビル2世」(1971年~1973年連載)での設定が、バビロニア(バベルの塔)が現代を越える超文明だった、三つのしもべの存在(三つのしもべの中でポセイドンは巨大人形ロボットである)、そして主人公が超能力者と、近未来編に通じる部分があるが、近未来編の元ネタとなったかどうかまではわからない。

サンダー大王 - Wikipedia

同じく横山光輝氏のロボットものの漫画に「サンダー大王」(1971年~1972年連載)という作品がある。こちらはアトランチスの守護神のロボットであり、架空の古代文明のロボット名に「大王」がついている点で、ブリキ大王のネーミングなどの元ネタの可能性もある。
ただしこの「サンダー大王」は古代ギリシャの王アレクサンドロス3世こと「アレキサンダー大王」の名前が元ネタであろう。
なお、古代バビロニアに「ブリキ」という名前の王は居なかったようである。
(ちなみに、アレクサンドロス3世はバビロンを治めていた時期がある)

勇者ライディーン - Wikipedia

「超能力で巨大ロボットを操縦する」アニメは大量にあるので、操縦系に関してのブリキ大王の元ネタはどれとは絞れないが、「勇者ライディーン」(1975年~1976年放送)は、主人公の洸(あきら)が古代ムー帝国が作ったロボット「ライディーン」を念動力で動かすなど、主人公の名前まで同じ。
ブリキ大王が「スーパーロボット大戦DD」に参戦した際、既にスパロボDDに参戦していた「勇者ライディーン」との共演も果たしているが、「主人公の名前」「超能力」という共通点があるため、スーパーロボット大戦シリーズをプロデュースしている寺田貴信氏から提案があったと時田貴司氏がXでコメントしており、シナリオでは実際に「同じ名前」であることをネタにした会話が存在している。
X - Takashi Tokita / 時田貴司(2024年9月23日)

ここまででも何度か紹介した通り、昭和の時代のいわゆるスーパーロボット系漫画・アニメでは、架空の古代文明で作られた、またはその古代文明の遺産を利用した主役ロボットも定番であり、これもブリキ大王の元ネタになっていると思われる。

たい焼き

たい焼き - Wikipedia

近未来編でたい焼きがクローズアップされた理由は筆者にはわからないが、理由としては以下が推測される。

縁日

縁日 - Wikipedia

「昭和」の名称が入った攻撃アイテム「昭和ヒヨコッコ砲」「昭和キントト砲」は、それぞれヒヨコと金魚を発射するが、「昭和」「ヒヨコ」「金魚」といえば縁日の屋台である。
(なお、「キントト」は「金魚」を指す幼児語)
ここに「たい焼き」(の屋台)もラインナップとして考えられるのではないだろうか。
ついでに、昭和の時代の縁日といえば、タロイモの本体こと、アカミミガメが「カメすくい」としてよく売られていた。アカミミガメの別称「ミドリガメ」の方が聞き覚えがある人も多いかもしれない。

アカミミガメ - Wikipedia

近年は動物愛護の面や、ペットを飼う上で飼い主の責任についての考え方が広まったこともあり、ヒヨコやカメを縁日で扱う屋台はほとんど見なくなった。
アカミミガメに至っては、日本では2023年6月より条件付特定外来生物に指定され、野外への放出、販売目的の飼養、輸入等が禁止された。
ペットとしての飼育は禁じられてはいないが、近未来編のように、カズがそのへんから取ってくるという描写はフィクションでもこの先見ることはなさそうである。

「およげ!たいやきくん」

「昭和」に流行した「たい焼き」といえば、1975年(昭和50年)に発表され大ヒットとなった歌「およげ!たいやきくん」がある。

ここからは余談。

無法松のたい焼き屋では他に「ミサワ焼き」「ド根性焼き」「バナナクレープ」を販売している。リメイク版では、「ミサワ焼き」はミサワの形の人形焼きと説明がついたのだが、「ド根性焼き」については不明のまま。いずれにしても、「たい焼き」「ミサワ焼き」「ド根性焼き」はいずれもアンコ入りの粉もの系焼き菓子ではないかと思われる。
一方、「バナナクレープ」を含む、果物や生クリーム、アイスクリームなどを包んだ日本独自のクレープは、1977年に原宿に出店した「カフェ・クレープ」が発祥で、ある種こちらも昭和ネタである。

なお、「根性焼き」というヤンキー言葉があるが、これと「ド根性焼き」はダジャレになっているだけで特に関係はないだろう。
(「根性焼き」は人によっては不快な内容なので、調べる場合は注意していただきたい)

根性焼き - Wikipedia ※「この項目には暴力的または猟奇的な記述・表現が含まれています。」の注意書きあり

スズメ

炎の転校生 - Wikipedia

SFC版近未来編のメニュー画面の背景には、「インコ」というプラカードをくわえた丸っこい鳥が描かれているが、近未来編デザイン担当の島本和彦先生の漫画「炎の転校生」(1983年~1985年連載)のマスコット的キャラで同じくプラカードをぶらさげているスズメと似ている。
雲龍が手にしている杖の先端の鳥もなんとなく似ており、リメイク版ならゲーム画面でもそれっぽいドット絵になっている。また、書籍「ライブアライブ オリジナル+HD-2D イラストレーションズ」で島本先生による雲龍のイラストを確認可能。
このスズメは島本作品のマスコットとして他漫画でもよく登場するため、本作での鳥もそのうちのひとつであろう。
また、島本和彦先生が近未来編を描いた漫画「超級!! ライブアライブ近未来編」でも似たような丸っこい鳥が登場しており、描写からして「昭和ヒヨコッコ砲」から発射されるヒヨコたちのようである。

拍子木

半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!! | SQUARE ENIX

近未来編の味方キャラクターがレベルアップした時などの拍子木を打ち鳴らすサウンドエフェクトは、「半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!」のサウンドエフェクト(幕が降りる時の効果音)が元ネタと思われる。
1992年発売の「半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!」はSFC版の「ライブ・ア・ライブ」開発スタッフも多く関わっている作品で、本作の元ネタもいくつか含まれている。なお、オマージュ・パロディネタの多さについては「半熟英雄」の方が本作よりも格段に上である。
本項目のトップページにも記した「観客が舞台を見ているメタフィクション的な構造」は、「半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!」でも見られる(というより、ほぼそのまま、ゲーム自体が「舞台の上で芝居を演じている」形になっている)。
拍子木の演出も含めて歌舞伎っぽさもあり、リメイク版では無法松が「見栄を切る」モーションも追加されているので、ますます歌舞伎っぽさが増した。

上リンク先はスマホ移植版「半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!」公式サイトである。
このスマホ版は2017年販売だが、プロモーションビデオ「【半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!! 】スペシャルコラボPV - YouTube」で中村悠一氏(リメイク版オルステッド役)&杉田智和氏(リメイク版で各シナリオに登場するほどたくさんの役)が「ライブアライブ」ネタを盛大にぶち込んでいたり、公式サイトでは杉田智和氏が半熟英雄のことを「LIVE A LIVEと同じくらい好きです。」とコメントしていたりと、数年後のリメイク版「ライブアライブ」を予言していたように見えなくもない。
もちろんこの時点では、声優さんたちもリメイク版については知らなかったであろうし、ファンも半熟英雄のいつものパロディネタと捉えた人の方が多かっただろうが……。
なお、リメイク版「ライブアライブ」の開発が始まったのはその1年後、2018年からとのことであるので、開発陣としては予言ではなく狙っていたのかもしれない。
ちなみに「LIVE A LIVE 30周年大感謝祭 ―蒲田編―」パンフレットでも、プロモーションビデオ収録時の中村氏・杉田氏が「ライブ・ア・ライブの話ばかりだった」件について時田氏がコメントしている。

オルガン

ちびっこハウスの教室でオルガンを調べると、アキラがオルガンを弾く。
この時に流れるメロディは以下の4曲からランダムである。

スクウェアのRPGでは、ピアノやオルガンなど、鍵盤楽器を調べると弾くことができる作品が多数存在する。
本作や「ファイナルファンタジーIII」では単なるお遊び要素だが(IIIでは本作と同じく「猫踏んじゃった」が聞ける)、「ファイナルファンタジーV」では世界各地のピアノを調べて弾くことで特技の「歌」が入手できる。本作後に発売の「VII」や「VIII」でも鍵盤楽器に関係するイベントがある。
本作と同時期に開発されていた「クロノ・トリガー」では、オルガンを弾くことで隠し扉が開き、攻略上必須である。
といったように、この頃のスクウェアのRPGには何かと鍵盤楽器がつきもののようである。
(鍵盤をスイッチとみなすと、音と絡ませたパズル的な仕掛けが作りやすいためか、ファミコンの時代から現代に至るまで、鍵盤楽器が登場するゲームはそれなりに存在している)

「ベイブリッジでイタメシのワイハでジュリアナさー!」

公園の男のセリフ。
1980年代後半から1990年代初頭にかけての日本における、バブル景気の頃のネタを詰め込んでいる。
男の心を読むと「必勝デートマニュアル」からの引用だったことがわかるが、このあたりまで含めてバブル景気の揶揄であろう。
リメイク版だとセリフの名前欄に「アベックの男」と表記されるが、「アベック」自体もバブル景気ネタと言っても良い死語である(アベック - Wikipedia)。

「ビビる」「マジで」「ムカつく」「超」「やばい」「バズる」これらの言葉が流行した時期を知りたい。 | レファレンス協同データベース - 国立国会図書館

ついでに、隣の女性(アベックの女)のセリフ「何それ~? チョ~ムカつくう~!」であるが、やはりこちらもバブル期から流行しはじめた言い回しである。

ベイブリッジ

横浜ベイブリッジ - Wikipedia

横浜ベイブリッジ(1989年開通)のこと。バブル経済の象徴のひとつとも言われる。
展望施設「横浜スカイウォーク」と合わせて、夜景スポット、ひいてはデートスポットとしてもてはやされた。

イタメシ

イタリアンレストランのこと。
バブル景気にイタ飯ブームが起こり、日本にイタリア料理が普及するきっかけになった。
(それ以前だと、マカロニやパスタ料理はアメリカなど、イタリア以外の国から伝わり、日本独自の洋食として「マカロニグラタン」「ナポリタン」「ミートソーススパゲティ」として食べられていた程度だった)

ワイハ

ハワイ州 - Wikipedia

ハワイのこと。日本人にとって海外旅行がまだ高嶺の花だった昭和中期ではハワイが「憧れの海外旅行先」であり、昭和後期は日本人の海外旅行先の定番となった。昭和世代にとって「ハワイ旅行=海外旅行=贅沢」という認識だったのである。

「ワイハ」以外にも、「グラサン」など語順を逆さまにする業界用語(隠語)があるのだが、バブル期に芸能人がネタとして使ったため一般にも流行し、隠語としての意味がなくなってしまった。
このことから語順を逆さまにする業界用語は、「バブル期の業界用語」的な扱いを受けている。
上の「倒語」「ズージャ語」の説明も参照していただきたい。

ジュリアナ

ジュリアナ東京 - Wikipedia

ディスコ「ジュリアナ東京」のこと。
ここから転じて、バブル期のディスコブームやディスコでのダンスを象徴する言葉となった。ボディコンファッションの女性が羽根付き扇子(ジュリ扇)を振って踊る様子がワイドショーで話題になったりもした。
なお、SFC版発売の2日前の1994年8月31日に「ジュリアナ東京」は閉店した。

ジュリアナ 閉店|ニュース|NHKアーカイブス

近未来編には他にもバブル景気ネタが見られる。オリジナル版が発売されたハード「スーパーファミコン」自体、その一世代前の「ファミコン」と並び、バブル景気の中で売れたゲーム機であるだろうし、ゲーム内であれば、例えばブル・コマツ1号などが使うスキル「地上げ地ならし」は、バブル期の地上げ(地上げ屋)ネタからだろう。以下リンク先を参照していただきたい。

地上げ屋 - Wikipedia

本作以外のサブカルチャーでもバブル景気を元としたネタは多数存在し、上でも紹介されている。有名なところだと、鳥山明氏による人気漫画「ドラゴンボール」の悪役・フリーザが生まれたのもバブル期であるが、フリーザは「宇宙の地上げ屋」というコンセプトである。

なお、この「アベックの男」は最終盤で「ヨシカズ」という名前だと判明し、この時の会話のみ、リメイク版ではボイスも付いたが、ボイスを担当したのは近未来編デザイン担当の島本和彦先生である。
ボイス収録時のエピソードは、漫画「吼えろペンRRR 2022「LIVE A LIVE」28年越しの再会編」に収録されている。

夜露死苦

ヤンキー (不良少年) - Wikipedia

近未来編のバトル曲名「PSYCHOで夜露死苦!!」の「夜露死苦」の読みは「よろしく」。
いわゆるヤンキー言葉で、1980年代あたりのヤンキー文化の当て字のひとつである。
アキラの服装が長ラン(裾の長い学ラン)っぽいことや、戦闘時のポーズがややヤンキーめいている(腰を低くして前のめりで待機している)のも当時の不良スタイルからであろう。
ヤンキー文化の時期もバブル景気の頃と被っている。

なお、ヤンキーのポーズ(ヤンキー座り)については、以下のアルトニアコラボでの描き下ろしのアキラを参照。

ちなみに「PSYCHO」は「psycho-」で「精神の~」や「心理的な~」という単語を作る(例えばpsychologicalでそのまま「精神の」の意味)だが、ここでは超能力関係の用語、例えば「サイコキネシス(念力)」や、「サイコメトリー(念視)」の「サイコ」の意味合いだろう。
(ダジャレまたは当て字的に「最高」と取ることもできる)

また、ヤンキーもどきなアキラは喧嘩に明け暮れているせいか傷だらけであるが、リメイク版で生島直樹氏が描いたアキラの全身イラストでは、胸の傷がない(公式サイト参照)。
だが近未来編のイメージイラスト(公式サイト掲載イラスト)や、よく見るとドット絵でも胸の傷がSFC版と同じく存在している。
リメイク版発売前、このことを島本和彦先生が「超級近未来編R」でネタにしてしまい、実は胸の傷を描き忘れていたことが後に判明している。

マタンゴ

マタンゴ - Wikipedia

作中に登場する「マタンゴ」は、1963年の特撮ホラー映画「マタンゴ」が元ネタ。
「マタンゴ」は映画中に登場する架空のキノコのことで、食べると精神が高揚したり幻覚を見たりするが、知性や理性が失われキノコ人間になってしまう。
この映画の強烈さ故か、他ゲームでもマタンゴというキノコ怪人・モンスターの類が登場することもしばしば。
特に有名なのはドラゴンクエストシリーズに登場するモンスターのマタンゴだろう。
スクウェアのゲーム「聖剣伝説2」には、キノコ人の国・マタンゴ王国が登場しているが、こちらは見た目がキノコなだけで敵ではない。

装備品・アイテム

ここまでで説明してきた装備品・アイテム以外の元ネタについて記す。

バッシュ

バスケットシューズ - Wikipedia

アキラの初期装備「バッシュ」は「バスケットシューズ」の略称。
井上雄彦氏によるバスケットボールを題材にした漫画「SLAM DUNK」(漫画は1990年~1996年連載、アニメは1993年~1996年放映)がSFC版開発~販売時期頃に流行し、バスケットボールがサブカルチャー界隈のみならず一般でも脚光を浴びることになったことからのネタであろうか。
この頃、バスケットボールには特に詳しくない層にも「バッシュ」という呼び名が普及したと思われる。
アキラの場合はバスケットボールをプレイするからバッシュを履いているのではなく、動きやすさなどを重視した上で履いているのではないだろうか。ゲーム内においても、速/素早さが上がる装備品になっている。

ミサンガ

ミサンガ - Wikipedia

刺繍糸を編んで作った腕輪のこと。ちょうどSFC版の発売時期に流行していたので、本作でも装備品として取り入れられたのだと思われる。
ポルトガル語圏が発祥という説があり、海外のサッカー選手が身につけていたことがきっかけで広まっていったという経緯がある。日本ではJリーグが開幕したのが1993年で、Jリーグのサッカー選手から一般に知られるようになった。
当時は雑貨屋やファンシーショップ等で販売されていたり、自作する人もいたが、リメイク版発売の2020年代には名前も知らないという人もいるかもしれない。

サンゴの指輪

アイテム改造で入手できるアクセサリー。
冷水地形ダメージを吸収可能、またSFC版では水の技属性の回避属性、リメイク版では水属性の耐性属性が設定されている。
スクウェアのゲームでもいくつかの作品で「サンゴの指輪」が登場するが、「ファイナルファンタジーV」の「さんごのゆびわ」が水属性攻撃を吸収できる装備であり、本作と性能が近い。

金のかみかざり / 金の髪飾り

SFC版は「金のかみかざり」表記で、リメイク版は「金の髪飾り」。
ファイナルファンタジーシリーズではIIで初登場、以降の作品でも魔力関係のプラス補正がかかったり、消費MPが減る頭装備またはアクセサリとして登場しており、本作の性能とも近い。

パワーリスト

スクウェアのゲームでもよく登場する装備品。
ファイナルファンタジーシリーズではアクセサリだったり腕用防具だったり、8作目ではG.F.(ガーディアンフォース、8作目における召喚獣のポジション)を強化するアイテムだったりするが、本作では「IV」などの「防御も力も上がる」性能と近い。

MKバッジ / MKバッヂ

とりいかずよし氏のギャグ漫画「トイレット博士」(連載:1969年~1977年)に登場する、メタクソ団の証「メタクソバッジ」(ソから取った「MK」の文字が刻まれている)が元ネタと思われる。
「トイレット博士」は週刊少年ジャンプの創刊の頃、つまり昭和後期に連載された大ヒット作品。
「メタクソバッジ」の実際のイラストは、上のオフィス安井(とりいかずよし氏のマネージメント代行)公式サイトで見ることができる。
漫画は集英社ウェブサイトで試し読みも可能だが、タイトルの通り、それなりに下ネタが含まれる作品のため、苦手な方は注意。

近未来編において、やたらとトイレの描写が多いのも「トイレット博士」の影響かどうかはわからない。
ただし、「MKバッヂ」をドロップする黒服が、筑波研究所のトイレにまで出現するのはある種「トイレット博士」の影響かもしれない。

「バッジ」「バッヂ」表記についてだが、SFC版取扱説明書は「MKバッヂ」表記、SFCゲーム版では「MKバッジ」表記だったが、リメイク版では「MKバッヂ」に変更されている。
英語の「badge」をカタカナでどう表記するか? について、統一した決まりは存在しないため、日本語としてはどちらが正しいとかそういうことは特にないようである。ただ、外来語で「ʤ(i)」の発音を日本語表記する場合、現在では「ヂ」より「ジ」の方が一般的である。
「ヂ」表記はやや古い表現であり、例えば「ラジオ」はかつて(第二次世界大戦前くらいまで)「ラヂオ」表記だった。
詳しくは以下参照。

ぢ(日本語の音節および仮名) - Wikipedia

西部編では、SFC版・リメイク版ともに「保安官バッジ」で統一されているので、1つの作品の中であえて「バッジ」「バッヂ」を使い分けているのだが、近未来編では「バッヂ」なのは、「バッヂ」表記の方が昭和っぽさを演出しているからと推測される。実際の理由はわからない。

ポーションNO9

楽曲・映画「ラブ・ポーションNo.9」が、アイテム「ポーションNO9」の元ネタ。
元はアメリカのボーカル・グループ「the Clovers」(The Clovers - Wikipedia(英語版))による1959年リリースの「Love Potion No. 9」という歌で、歌詞に登場する「ラブ・ポーションNo.9」は惚れ薬。カバー曲も多い。
映画版はこの歌の歌詞を元とした作品。

敵の名前

敵の名前の元ネタについてまとめて紹介。

クルセイダー

歴史的には中世の「十字軍」のこと。そこから転じて、英語の「crusade」には社会活動、革命運動、反対運動という意味がある。
クルセイダーの成立については近未来編最終盤で語られているが、その内容からして、本作における「クルセイダー」の由来は「社会活動・革命運動・反対運動」ということになりそうである。

ラジコン○号 / RC○号

ラジコン - Wikipedia

おもちゃの「ラジコン」、つまり無線コントロールする車の玩具からなのだが、おもちゃの「ラジコン」という名称は株式会社増田屋コーポレーションが商標権を持っている都合で、SFC版のラジコン○号はリメイク版で「RC」に変更されたのだと思われる。
「RC」は「radio control」の略称。

ラジコンボーイ - Wikipedia

なお、1980年前後にはラジコンブームが起きており、例えば原始編デザイン担当の小林よしのり先生が「おぼっちゃまくん」を掲載していた小学館の児童向け漫画雑誌「コロコロコミック」では、同時期に大林かおる氏による漫画「ラジコンボーイ」(1983年~1989年連載)が掲載され人気を博していた。
本作のラジコンシリーズも昭和ネタのひとつと言えるだろう。

ラリアット○号

ラリアット - Wikipedia

そのままプロレス技の「ラリアット」からであろう。
「ラリアット」は片腕を横に突き出して肘の内側で叩きつける技だが、ラリアット○号の場合、両腕を突き出して回転しているような感じなので見た目は「ダブルラリアット」である。要するに現代編の「マックスボンバー」と似たようなもの。

キョクシン○号

極真会館 - Wikipedia

キョクシンは大山倍達氏が創設した空手道団体「極真会館」からと思われる。

佐竹雅昭 - Wikipedia

最終編にはキョクシン○号の色違いである「メカサタケ98」が出現するが、こちらは格闘家の佐竹雅昭氏が元ネタの可能性がある。
佐竹雅昭氏は大山倍達氏の著書に感銘を受け空手の道を志した、という経緯がある。ただし、極真会館関西本部に入門したものの合わずに一ヶ月で退会している。

ブル・コマツ1号

ブルドーザー - Wikipedia

建設機器メーカー「株式会社小松製作所」の「ブルドーザー」の意味で「ブル」「コマツ」だと思われる。
株式会社小松製作所は呼称としてカタカナ表記のコマツを用いている。
また、実際にブルドーザーの生産メーカーでもある。上リンク先を参照のこと。
ブル・コマツ1号の見た目もブルドーザーそのままなので、由来としてはほぼ間違いないだろう。

ヘーベル1号

旭化成ホームズ - Wikipedia

旭化成ホームズ株式会社は、建材「ヘーベル」および、「ヘーベル」を素材とした戸建住宅ヘーベルハウスを販売しているが、ヘーベルハウスのキャラクター・ヘーベル君は敵キャラ「ヘーベル1号」の元ネタである。
もっと踏み込んでいえば、ヘーベル君の見た目(特に顔)がヘーベル1号によく似ている。
2020年代に入ってからは放送されていないようだが、SFC版発売当時はヘーベル君が最後に「ハ~イ!」とかわいいボイスを発するヘーベルハウスのテレビCMは非常に印象的だったのである。
「ヘーベル君」で画像検索すればすぐに見つかるだろう。

ここで言うまでもないが、ブル・コマツの小松製作所も、旭化成ホームズも、本作とは無関係のメーカーである。単純に名称の元ネタとなっているだけである。

鉄のカーテン - Wikipedia

また、ヘーベル1号の使用スキル「鉄のカーテン」は、東西冷戦時代(1945年~1989年)における緊張状態を表すために用いられた比喩のこと。同名の映画もある。

ジェネラル

筑波研究所に出現する「黒服」「ガードマン」「ジェネラル」は見た目こそ同じだが、「黒服」「ガードマン」はおそらく下っ端であろうことに対し、「ジェネラル」は将官クラスなどの軍隊の高位の役職を表す「General」からと思われる。
その割には(最奥の重要な場所とはいえ)廊下で見張りに立っていたり、実際に戦闘を行うなど、高位の役職なのかわからない行動を取っているあたりからして、近未来編の陸軍における「ジェネラル」は、一般的な軍隊の階級の意味とは異なるのかもしれない。

なおリメイク版収録の英語版では、黒服が「Tense Suit」、ガードマンが「Private Security」、ジェネラルが「Commander」、そして陸軍総帥の肩書のヤマザキが「General Yamazaki」であり、ヤマザキの肩書の方が「ジェネラル」になっている。一方で「Commander」だと「司令官」か、軍であってもそれなりの地位にあたるので、「ジェネラル」よりは違和感がないもののやはり廊下の見張り(しかも司令官なのに部下と一緒に出現することもない)というのは妙といえば妙ではある。
架空の軍隊といってしまえばそれまでであるが。

93式中戦車

九七式中戦車 - Wikipedia

九七式中戦車が「93式中戦車」の元ネタと思われる。
九七式中戦車は第二次世界大戦における日本軍の主力戦車のひとつで、フィクションにも登場する機会が多い。
スキルは「88ミリ戦車砲」であるが、九七式中戦車が積んでいたのは九七式五糎七戦車砲(口径57mm)。
「88ミリ戦車砲」の名前の元ネタはドイツの口径88mm高射砲かもしれない。

8.8 cm FlaK 18/36/37 - Wikipedia

怒竜&翔電

敵の戦闘機、「怒竜」と「翔電」は第二次世界大戦時の日本の戦闘機が名称の由来と思われる。
「怒竜」は一〇〇式重爆撃機・愛称「呑龍」から、「翔電」は戦闘機「紫電」から。
「怒竜」については、「呑龍」が大型機であることと名前がほぼそのままなこともあり、由来の可能性が高いと思われるのだが、「翔電」については「紫電」以外の他の由来も考えられる(海軍の陸上・局地戦闘機の名称は「~電」「~雷」と定められていたため)。
いずれにしても、実在した戦闘機の名称を元に、それっぽい架空の戦闘機の名前を付けた、というのは間違いないようである。

また「翔電」という一般企業も複数存在するが、こちらは電気製品や工事関係の会社であることがほとんどで、本作とは特に関係ない。

シンデルマン

「生きているのにシンデルマン」という一発ネタのための命名であろうが、「Schindelman」(シンデルマン)という名字は実在している。

雲龍

「雲龍」という名称は、

  • 仏教の寺の天井に描かれる「雲龍図」という龍の絵画。
  • その「雲龍図」を名前の由来とする和菓子「雲龍」。
  • 江戸時代の第10代横綱「雲龍久吉」(雲龍久吉 - Wikipedia)。横綱土俵入りの型「雲龍型」の起源となった人物。
  • 第二次世界大戦時の日本の空母「雲龍」(雲龍 (空母) - Wikipedia

と様々あるが、本作の「雲龍」の元ネタがどれかというとどれとは絞れないし、単に「寺の住職っぽい名前」というだけの可能性もある。

漫画「燃えよペンRRR 1993「LIVE A LIVE」制作記録編」では、島本和彦先生がデザイン依頼を受ける際に「インコ大僧正」と伝えられるシーンがあり、開発中の仮名称だったのではないかと思われる。

筑波&日暮里(にっぽり)

終盤で訪れることになる「筑波研究所」だが、筑波研究学園都市(茨城県つくば市と同地域)が元ネタだろう。
関東地方であれば筑波山の知名度が昔からそれなりにあったが(古くは万葉集の歌にも含まれている)、昭和後期の1985年に筑波で国際科学技術博覧会(「筑波万博」という名称の方が知られているだろう。国際科学技術博覧会 - Wikipedia)が開催され、「筑波」という地名が全国的に知られるきっかけとなった。
万国博覧会(万博)という性質上、当時「筑波万博」から「近未来」を感じた人も多かったと思われる。
現在では官民問わず研究施設が多数存在する。一方周囲には筑波山などの自然も残っているので、作中の「森の中の研究施設」という描写もあながち間違いではないかもしれない。
「筑波市」が現在の「つくば市」表記になったのは筑波万博の直後の1987年であり、SFC版発売の1994年には既にひらがな表記なのだが、「筑波研究学園都市」のように漢字表記される固有名称も残っているため、本作でも「筑波研究所」なのだろう(ひらがな表記では演出上、怪しげな雰囲気も薄れてしまうだろう)。
もちろん、実際のつくば市には作中の筑波研究所のようなヤバい施設は存在しない。

幕末編の浪人の固有名称には大学名が使われており、一人目が「筑波 一郎」だが、これはつくば市にある「筑波大学」から。

実在の地名として、近未来編にはもうひとつ「日暮里(にっぽり)」も登場するが、東京都荒川区の日暮里(にっぽり)地域(現在は地名としては「西日暮里」「東日暮里」が残る。また「日暮里駅」が存在する)が元ネタ。
もちろん、実際の日暮里地域には作中の御出居寺のようなヤバい施設は存在しない。

余談になるが、2025年3月23日に時田貴司氏のXのスペースで「ライブアライブ 30周年大感謝祭-蒲田編-Blu-ray」同時視聴イベントが開催され(アドレスはこちら、現在は聴取不可)、この時に時田氏が「ファミコンの時代、スクウェアが筑波に移転するかもしれないという話があり、皆で下見に行ったことがある」とコメントしている。実際には株式会社スクウェアは筑波には移転していない。

なお、近未来編のマップは、実際の関東地方の位置関係をある程度再現しているようである。
東京駅付近を基準として、北に日暮里、南に東京湾(港)、東は荒川・江戸川あたりを挟んで(位置と距離がやや強引だが)北東方向につくば、となる。
ブリキ大王が池の水を割って出てくる公園は東京の西方向にあたるということになるが、「マジンガーZ」ではマジンガーZの拠点・光子力研究所(プールの水を割ってマジンガーZが出てくる)があるのは富士山麓なので、一応「東京の西」になる……という共通点があるといえばあるのだが、これもつくば同様かなりのこじつけである。

液体人間

「ブラッド・ミュージック」は、グレッグ・ベア氏による、1987年発表のSF小説。日本でも翻訳されて早川書房から発売されている。
主人公は白血球から生み出した生体素子を自らの体内に取り込み、それは主人公の体内で進化し続け、他の人間にも感染、最終的には人類すべてが溶液の中でひとつとなり……というストーリーであり、人間が液体化しひとつになる「液体人間」の元ネタと思われる。
シンデルマンが言う「人間が一つになり身も心も分かち合える」という設定自体はSFで言うところの「集合精神」であり、同じような設定・発想はアーサー・C・クラークの小説「幼年期の終わり」など有名な古典作品が多数存在している。

集合精神 (サイエンス・フィクション) - Wikipedia

本作以外でも、SFC版発売時期の日本のアニメ・漫画・ゲームの元ネタになっていることがある。
有名どころでは1995年~96年にテレビで放映されたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」、同じスクウェアから発売のゲームであれば、1998年発売の「ゼノギアス」が該当する。特に「新世紀エヴァンゲリオン」については本作同様に「人間が液体化する」ことから類似性が指摘されることがしばしばある(本作はSFC版が1994年発売なので、TV版「エヴァ」よりも先。ただし両者とも元ネタがあるため、どちらが先とか、どちらかがどちらを真似たというような議論はあまり意味がないだろうし、どちらも傑作である)。
上リンク先には、いわゆる剣と魔法のファンタジーものからロボットアニメまで、多数のサブカルチャー作品が名を連ねている。
一覧にもあるが、実は先に紹介した「ゲッターロボ」シリーズも「集合精神」の概念を取り入れた作品である。ただし、初代アニメには「集合精神」の要素はなく、それら設定がはっきりしてきたのは石川英郎氏が流竜馬の声を担当するようになったOVAシリーズ及び漫画版あたりからである。

「新世紀エヴァンゲリオン」といえば、テレビシリーズ最終話のサブタイトルが「世界の中心でアイを叫んだけもの」だが、原始編のポゴが最後に「あいぃ~~~ッ!!」と叫んだ関係で、リメイク版にて「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジ役の緒方恵美氏がポゴの声を担当することになった……のかどうかは不明である。

F・4・9・F

筑波研究所最奥の部屋に入るためのID。
これを16進数とするとASCIIコード(コンピュータ用文字コード)では「O・D・I・O」、つまり「オディオ」に対応している。
(簡単に解説すると、「F・4・9・F」を16進数とみなし、普段我々が使う10進数に変換すると「15・4・9・15」。アルファベットにAから順に番号をふった場合、4番目は「D」、9番目は「I」、15番目は「O」である)
この一致は偶然ではなさそうである。

現在(リメイク版発売の2020年代)では文字コードの国際的なスタンダードはUnicodeであるが、この中にASCIIも含まれているので、Unicodeでも考え方はだいたい同じ。
Unicodeでは大文字のアルファベットが16進法の0041番以降に割り振られているので、「F・4・9・F」のそれぞれの頭に「U+004」をつけて、
「U+004F・U+0044・U+0049・U+004F」でUnicodeにおける「ODIO」である。

某新興宗教団体

Wikipediaへのリンク

SFC版発売時には「人騒がせな新興宗教」程度の組織だったが、発売の数ヶ月後に大規模な犯罪に関わっていたことが判明したため、ここでは名前を伏せる。リンク先でご確認いただきたい。
本作では、「隠呼大仏(リメイク版では大隠呼像)」をはじめとする架空の宗教の元ネタとなっている。
リメイク版で像の名前が変更になったのは某新興宗教がどうこうというよりは、「大仏」という名称が既存の宗教用語だからと推測される。幕末編で「仏像」という名称がついた敵の名前が全面的に変更されたり、「不動明王のおフダ」の「不動明王」が宗教用語のため、「炎魔のお札」に名称変更になったのと同一の理由だろう。

余談になるが、SFC版発売当時は日本での超能力ブームの後期にあたる頃合いでもあった。当時は、超能力は実在するという前提で、超能力者を自称する人たちが出演し、超能力なるものを披露する多数のテレビ番組が放送された。現在で言えば「モキュメンタリー」のようなものだが、「モキュメンタリー」であるという断りなしであった。
当時、ゲーム・アニメ・漫画などに超能力者がよく登場していたのは、超能力ブームも背景にある。
漫画の「AKIRA」も超能力を扱っていたし、本作のアキラも同様である。ゲームであれば、現在もヒット作を生み続けている、任天堂の「ポケットモンスター」シリーズのポケモンに「エスパー」タイプが存在するのもこの頃の影響であろう(エスパータイプのポケモンの名前の元ネタに、超能力者の名前が含まれていることをご存知の方も多いだろう)。
超能力のみならず、オカルト・心霊・超常現象についても「実在する」ように描いたテレビ番組が無数にあった。
上で、昭和の時代のロボットものには架空の古代文明がしばしば登場することも記したが、超古代文明(ムー大陸、アトランティス文明など)もまた、オカルト・超常現象ネタの範疇である。
SFC版発売の1994年、つまり20世紀末は「1999年7の月に人類が滅亡する」という、ある種のトンデモ解釈で有名になった「ノストラダムスの大予言」が広まったことも背景にあった。「半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!」で月イチイベント「恐怖の大王」が99年の7月に発生する元ネタでもある。
20世紀末にいわゆる「終末もの」が本作を含めてサブカルチャーで多数発表されたのも、当時の世相があってのことだろう。
本作において最終編で登場する「ハルマゲドン」が、本来の意味から曲解されて広まったのも、上の某新興宗教団体を含めて、オカルトや超能力ブームの影響がある。
「終末もの」については、上で記したアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」やゲーム「ゼノギアス」の他にも、20世紀末に発売されたスクウェアのゲームでは「ファイナルファンタジーVI」「クロノ・トリガー」「クロノ・クロス」「ルドラの秘宝」で世界の滅亡が描かれている。特に「クロノ・トリガー」では本当に作中の1999年に世界が滅亡している。

もちろん、大半の人はそういったオカルト・心霊・超常現象・超能力についてのテレビ番組を、単純に娯楽番組として楽しんでいたに過ぎない。漫画やアニメ、ゲームで描かれたとしても、それはあくまでもフィクションである。
だが、上の某新興宗教の教祖が自分を超能力者だと公言し(実際には種も仕掛けもあるトリックだったが)、その後に某新興宗教の犯罪が判明したことで、超能力ブームは一気に下火となり、オカルト・心霊・超常現象を含め、テレビ番組で扱うこともなくなった。
現在では、科学的検証を元にした番組こそあれど、さすがにブーム全盛の頃のような「超能力は実在する」前提のテレビ番組は姿を消した。
一方、サブカルチャーにおいては現在でも超能力を扱った作品が存在しているが、あくまでも創作物の範囲であり、問題になることはまずない。リメイク版発売において、近未来編のシナリオも特に問題になってはいない。



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