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SFC版攻略本でも「名作西部劇のおいしいところを集めている」という開発者コメントがある通り、西部劇ネタがふんだんに含まれている。
サンダウンやマッドドッグが銃をくるくる回したり速射のファニングをする「ガンプレイ」(銃の「魅せプレイ」のこと)を見せてくれるが、これも西部劇ならではの演出。

西部劇 - Wikipedia

サクセズ・タウンは「一昔前にゴールドラッシュで賑わった」街だが、西部劇でも題材として、あるいは物語の背景としてよく取り上げられる。
当時の実際のゴールドラッシュについては「カリフォルニア・ゴールドラッシュ」を参照。

カリフォルニア・ゴールドラッシュ - Wikipedia

映画「シェーン」

シェーン - Wikipedia

SFC版攻略本でも元ネタのひとつとしてあげられている1953年の西部劇映画。
上のあらすじからでも、大まかなストーリーの流れが西部編の元となっていることがわかる。
「最後はシェーン」と攻略本インタビューにあるが、これは「シェーン」のラストシーンで、少年ジョーイが主人公シェーンに呼びかけるシーンが、西部編ラストでビリーがサンダウンに呼びかけるシーンそのまま、という意味だろう。

映画「荒野の七人」

1960年の西部劇映画で、黒澤明監督の日本映画「七人の侍」を西部劇に置き換えたリメイク作品。
元の「七人の侍」は「盗賊と化した野武士の襲撃にあっている村が、襲撃に対抗するため侍七人を雇うが、村人たちもまた立ち上がって侍たちと共に野武士を討ち取る」という、本作のサクセズタウンの物語を彷彿とさせるあらすじになっており、これを西部劇でリメイクした「荒野の七人」はより西部編の元ネタっぽさがある。

映画「夕陽のガンマン」

夕陽のガンマン - Wikipedia

サンダウンとマッドドッグの関係やビジュアル的な元ネタになった可能性の高い1965年の西部劇映画。
西部編デザインを担当した石渡治先生のリメイク版発売時のコメントによると、「西部劇といえば、ボクの中ではイーストウッド」とあり、サンダウンのモデルはクリント・イーストウッドであるらしいが、このイーストウッド演じる主人公のマンゴーと、賞金稼ぎのダグラス・モーティマー大佐のビジュアルは、本作のサンダウンとマッドドッグにかなり似ている。
「夕陽のガンマン」のストーリーである、ひょんなことからマンゴーと大佐が共通の目的のために手を組んで……という展開も本作を思わせる。
また、マカロニ・ウェスタン(イタリア製西部劇)の名作「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」をドル箱三部作というのだが、口笛がBGMとして印象的に使われている作品群でもある(作曲はエンニオ・モリコーネ氏)。本作でも西部編のBGMとして口笛が使われている。

サンダウン・キッド

時田貴司氏によれば、上の「夕陽のガンマン」が元ネタとあるので、「夕陽」→「太陽(Sun)が沈む(down)」という言葉遊びが元らしい。

また、フルネームの方は、実在したアメリカ西部開拓時代の強盗のサンダンス・キッド(本名はハリー・アロンゾ・ロングボー)も元ネタと思われる。
後述するが、サンダンス・キッドは「クレイジー・バンチ」の元ネタとなる強盗団「ワイルド・バンチ」に所属していた。
また、1942年の西部劇映画「The Sundown Kid」も存在する。

マッドドッグ

マッド・ドッグ - Wikipedia

mad dogで「狂犬」の意味だが、フィクションではだいたいの場合、味方側なら良い意味で、悪役なら悪い意味で狂犬のような人物に付けられる愛称であり、本作のマッドドッグの元ネタが誰とは絞りきれない。
しつこくサンダウンを狙う賞金稼ぎというキャラクター設定からの「マッドドッグ」という命名であろうか。
賞金稼ぎという面では狂犬キャラかもしれないが、それ以外ではお人好しで世話好きなキャラであるのは、本作をプレイした方ならご存知の通りである。

プロレスネタの多い本作だが、「マッド・ドッグ」が入ったリングネームのプロレスラーも存在しているため、そちらも由来の可能性として考えられる。

強盗団ワイルドバンチ

西部開拓時代に実在した強盗団。名称が「クレイジー・バンチ」の元ネタと思われる。
西部劇映画「ワイルドバンチ」は、初代「ワイルド・バンチ」の名前をとった、ブッチ・キャシディ率いる「ワイルド・バンチ」をモデルにした映画である。
映画「ワイルドバンチ」は、パイク・ビショップ率いる「ワイルドバンチ」を描いており、本作のパイク兄弟の名称の元ネタと思われる。
なお、ブッチ・キャシディのワイルド・バンチにはサンダウン・キッドの名前の元ネタであるサンダンス・キッドも所属していた。

ビリー

ビリー・ザ・キッド - Wikipedia

西部開拓時代の実在の人物で、創作物では義賊として描かれ西部劇でも題材として人気のビリー・ザ・キッド(1859年?~1881年)が、ビリーの名前の元ネタと思われる。

ビリーのみ罠として仕掛けることが可能な「パチンコ」は、いわゆる「スリングショット」の子ども向けおもちゃの名称として使われている。
仕組み上、ゴムなど弾性のある素材が必要になるが、アメリカでは1839年に化学者チャールズ・グッドイヤーが加硫ゴム(加硫 - Wikipedia)を発明、1844年に特許取得し、この後に「スリングショット」が広まっていったようである。時期としてはちょうど西部開拓時代である。
日本においては、大正時代の頃から子どもがおもちゃとして自作して小石を飛ばしていたらしく、これを「パチンコ」と呼んでいた。「スリングショット」という英語の名称が日本に入ってきたのは更に後の時代であり、現在でも「スリングショット」では何のことかわからないという人もいるかもしれない。
つまり「パチンコ」が「スリングショット」だと通じるのは日本のみなので、リメイク版収録の英語版では「Slingshot」になっている。

アニー

西部開拓時代、射撃手及びワイルド・ウエスト・ショー(西部劇のショー)で活躍したアニー・オークレイ(1860年~1926年)がアニーの名前の元ネタと思われる。
アニーの生涯は没後にブロードウェイ・ミュージカル、後に映画・テレビドラマ化した西部劇「アニーよ銃をとれ」(初演:1946年)で描かれた。

アニーのみ罠として仕掛けることが可能な(というか罠にすると敵に投げる)「フライパン」だが、「ファイナルファンタジーIV」には「愛のフライパン」というイベントアイテムが存在する。この「愛のフライパン」の使い道は本作同様に料理ではなく、ある目的で「人間を叩く」ことである。
また、スクウェアと任天堂が開発元である「スーパーマリオRPG」(1996年発売)では、ピーチ姫の最強武器が「フライパン」であったり、「クロノ・クロス」(1999年発売)にも「フライパン」が武器として登場したり、この頃のスクウェアのRPGは「フライパン」と何かしら縁があるようだ。

なお、任天堂から発売のRPG「MOTHER」シリーズの武器にも「フライパン」があり、「MOTHER」シリーズの方が本作より先に発売されている。
ちなみに「MOTHER」には「スリングショット」も武器として登場しているが、当時は「スリングショット」という名称が現在以上に浸透しておらず、どんなものなのかわからなかった小中学生もいるかもしれない。

ウェイン&ダラス・ジェンマ・クリント・セザール

サルーンにいる男性4人組は、以上の俳優の名前が元ネタ。いずれも西部劇に出演している。
先に述べた通り、クリント・イーストウッドはサンダウンのモデルでもある。
シーザー・ロメロはフルネームだと「César Julio Romero Jr.」で、セザール(César)はフランス語圏の表記・発音。英語ではシーザー(Caesar / Cesar)となる。

駅馬車 (1939年の映画) - Wikipedia

リメイク版では、ウェイン夫人に「ダラス」という名前がついたが、ジョン・ウェインがリンゴ・キッド役で主演の西部劇映画「駅馬車」にて、リンゴがプロポーズした女性「ダラス」から取られたと思われる。

サンチョ・デロス・パンチョ

ロス・パンチョス - Wikipedia

メキシコのラテン音楽グループ「Trío los Panchos」(ロス・パンチョスまたはトリオ・ロス・パンチョス)が、サンチョ・デロス・パンチョの三人組の元ネタと思われる。
ロス・パンチョスは来日したこともあり、メキシカンハット・ポンチョ・ギターのメキシカン3人組、という彼らの姿は、本作を含め、日本のサブカルチャーのテンプレート的存在となった。
SFC版ではデロスが「ベ~サメ ム~チョオ~~♪」と呑気に歌っているが(リメイク版だと「セニョ~ラ ム~チョオ~~♪」)、「ベサメ・ムーチョ」はロス・パンチョスの持ち歌のひとつ。
リメイク版にて変更されたのは実在する曲だからかもしれないが、「ベサメ・ムーチョ(Bésame mucho)」はスペイン語で「(私に)たくさんキスして」に対し、「セニョーラ ムーチョ」だとスペイン語の単語をつなげただけ(セニョーラは「夫人」、ムーチョが「たくさん」)なので、意味がよくわからない。
(筆者はスペイン語には詳しくないため、間違いがあるかもしれない)

作曲担当の下村陽子氏は、サンチョ・デロス・パンチョが演奏する曲「Sancho・de・Los・Panchoz」について、「ベサメ・ムーチョ」みたいな曲を、とリクエストされたことを明かしている。

この「Sancho・de・Los・Panchoz」は「サンチョ・デロス・パンチョ」と三人の名前をつなげているのだが、スペイン語の「de」は英語でいうところの「of」のような前置詞、「Los」は英語でいうところの「The」のようなもの(男性名詞の複数形につける冠詞)なので、「Sancho・de・Los・Panchoz」は「Panchoz家のSancho」のような意味合いになる(らしい。しつこいが筆者はスペイン語には詳しくないため、間違いがあるかもしれない)。

彼らが口にする「アミーゴ」(amigo)は、スペイン語で男性名詞の「友達」の意味。女性名詞だと「アミーガ」(amiga)になる。

タンブルウィード

タンブルウィード - Wikipedia

西部劇といえば丸い枯れ草(タンブルウィード)が風に吹かれ荒野を転がってくるのが定番だが、実際の西部開拓時代にはタンブルウィードはアメリカに存在していなかった。
このことからもわかるが、本作の西部編は「史実の西部開拓時代に忠実な作品」というより「西部劇」のオマージュなのである(最初に記した通り「ガンプレイ」も見栄え重視の西部劇演出である)。
また、「タンブルウィード」は特定の種の植物ではなく、枯れて丸まり転がりやすくなる種は複数存在している。

決闘

サンダウンとマッドドッグが「背中合わせで歩き、5つ数えたら勝負」という決闘を行うシーンがあり、これも西部劇によくある「背中合わせで歩きカウントダウン後に振り返って勝負」というネタである。
……と思いきや、実際の西部劇映画の決闘シーンは、「互いに正面向きで合図と共に銃を抜いて早撃ち」というシーンの方が多いようである。
筆者は西部劇には詳しくないので、「背中合わせで歩きカウントダウン後に振り返って勝負」の元ネタがいったい何の西部劇なのかはよくわからない。

ただし、「背中合わせで歩きカウントダウン後に振り返って勝負」という銃での決闘方法自体は、フランス式といって実在していたものらしい。上の「決闘用ピストル」を参照。

酒場でミルク

砂塵 (映画) - Wikipedia

パイクがサンダウンにミルクを注文して侮辱するシーンがあるが、現在では西部劇のみならず様々なフィクションで見られる「酒場でミルクを注文する」元ネタは、1939年の西部劇映画「砂塵(Destry Rides Again)」が元祖ではないかと言われているようである。
「砂塵」に登場するガンマンのトム・デストリー・ジュニアは凄腕だが酒場でミルクを頼んでは笑われるような男。

スコップ

オランダ語から日本語への借用 - Wikipedia

罠アイテムのひとつ「スコップ」だが、「schop」(スコップ)はオランダ語由来である。日本が鎖国をしていた江戸時代、オランダとは貿易があった関係で、現在の日本でもオランダ語由来の言葉が多く使われているが、「スコップ」もそのひとつになる。詳細は上サイトを参照。
このため、リメイク版収録の英語版では、「Shovel」(シャベルまたはショベル)になっている。

日本国内では「シャベルまたはショベル」も「スコップ」も通じるが、日本産業規格(JIS)によると、規格番号JISA8902「ショベル及びスコップ」にて規定されており、足をかける部分があるものを「ショベル」、ないものを「スコップ」としている。
それとは別に、片手でも持って作業ができる小型のものが「スコップ」で、それ以外の大型のものを「シャベルまたはショベル」と言う方もいるだろうし、はたまた、それは逆で大型が「スコップ」、小型が「シャベルまたはショベル」だと言う方もいる。これは地域差のようであり、なかなかややこしい。

本作では「落とし穴を掘るためのアイテム」としての「スコップ」なので、おそらく大型のタイプと思われる。

ダイナマイト

ダイナマイト - Wikipedia

ダイナマイトを発明したのはノーベル賞で知られるアルフレッド・ノーベルであり、1867年に特許申請されている。知っている方も多いだろうが、ノーベル賞設立のきっかけは「ダイナマイト」である。上リンク先参照。
史実のカリフォルニア・ゴールドラッシュは1848年~1855年で、この時には「ダイナマイト」という商品は存在していないが、本作のサクセズ・タウンはゴールドラッシュ後の寂れた町であるから、西部編に「ダイナマイト」が存在していることは史実と矛盾しない。
(とはいえ先のタンブルウィードのように、西部開拓時代とは明らかに矛盾した表現もあるので、あまりあれこれ突っ込むのは野暮というものかもしれないが)

同じく火器としてマッドドッグが作ってくれる「火炎ビン」だが、西部開拓時代には火炎瓶は存在していなかったらしい。
材料と仕組み自体は単純なので、似たような火器はあったのかもしれないし、ダットン兄弟やO・ディオもスキル「火炎ビン」を使うことからも、ある程度知られているのだろう。
なお日本では、「火炎びんの使用等の処罰に関する法律」により、火炎瓶の作製、所持、使用は犯罪となる。西部編の真似は決してしないように。

火炎びんの使用等の処罰に関する法律 - Wikipedia

賞金

西部劇のお約束で、サンダウンは賞金首として5000ドルの賞金がかけられており、マッドドッグはそれを狙う賞金稼ぎ、バウンティハンターとして登場する。
西部開拓時代の1ドルの価値はどのくらいかについては様々な説があるのだが、筆者が調べた限りでは、1ドルは数千円から一万円を切る程度らしい(リメイク版発売時期の日本円基準)。

西部劇映画では、「裸の拍車」で保安官殺しの殺人犯に対し5000ドル、「懐しのアリゾナ」で山賊に同じく5000ドルの賞金がかけられている。
上で紹介した「夕陽のガンマン」では、凶悪犯の賞金首エル・インディオに1万ドルの賞金がかけられている。
西部劇での演出上、これらの金額は「当時の価値観で相当の高額」に設定されていると思われる。
よって西部劇としてのサンダウンの賞金の額は、「ごく標準的に高額」というあたりであろうか。

バー / サルーン

ウエスタン・サルーン - Wikipedia

SFC版では「クリスタルバー」、リメイク版では「クリスタルサルーン」と、街の酒場の名前が変わっているが、「サルーン(saloon)」は「バー(bar)」の一種であり、「サルーン(saloon)」だと西部開拓時代っぽい表現になるらしい。
リメイク版は日本語版以外にもローカライズされているため、英語圏などで違和感のないように変更したのだと思われる。

本作にも登場する、西部劇でおなじみのサルーン入口の左右開きの扉は「スイングドア」。
「スイングドア」は現在、工場などで使用されている左右開きの扉の名称でもあるため、西部劇のような扉を探す場合は「ウエスタンドア」で検索してみると良いだろう。

ピースメーカー

コルト・シングル・アクション・アーミー - Wikipedia

サンダウンの初期装備である拳銃「ピースメーカー」は、実在の拳銃「コルト・シングルアクション・アーミー(コルトSAA)」の通称。
保安官が好んで使用したことから、平和を作るという意味の「ピースメーカー」が通称となっている。
「サンダウンの武器がピースメーカー」であることは、最後に明かされるサンダウンの正体の伏線でもある。
また、マッドドッグの初期装備「バントライン」はコルトSAAの中でも長銃身型の「バントラインスペシャル」から取られていると思われる。
リメイク版収録の英語版では、「バントライン」は「Buntline Special」と元ネタそのままである。

ウインチェスター

ウィンチェスターライフル - Wikipedia

クレイジーバンチのパイク兄弟やデュオ・デ・チコのスキル「ウインチェスター」は、「ウィンチェスターライフル」のことだと思われる。特にパイク兄弟はゲーム画面でもライフルを手にしている。
中でも「ウインチェスターM1873」は「西部を征服した銃」とまで呼ばれ、西部劇では上で紹介した「コルトSAA」と並び有名な銃となっている。

サンダウンの技名

サンダウンの技は「シングルショット」「ダブルショット」など、名前と技の性能が一致していることがほとんどであるが、特筆すべき点について以下に記す。

ピアッシング弾

リメイク版の説明で「特殊な貫通弾で銃撃する」とある通りに、「貫通する」を意味する「Pierce」から「Piercing」弾だと思われる。

ホローポイント弾

ホローポイント弾とは拡張弾頭の一種で、弾頭(先端=ポイント)がすり鉢のように窪んでおり、中央が空洞(ホロー)な弾丸のこと。
その形状のため、命中時に弾頭が広がり、対象への接地面積が広くなり、貫通力は落ちるが威力は上がり広範囲にダメージが及ぶ。
威力の高さが本作での吹き飛ばし効果や麻痺の追加効果に反映されていると思われる。

マルチカウンター

「全方向から無属性以外の全属性の攻撃に対して反撃」という性能から、「multi-」(多くの、多方面の)「counter」(反撃)という、そのままの意味合いだろう。

リメイク版収録の英語版だと「Quickdraw」(西部劇の早撃ちのこと)になっている。

みだれ撃ち

「みだれうち」は「ファイナルファンタジーV」で初登場、以降もシリーズでおなじみのアビリティ(能力)・特技。
複数回攻撃するが対象がランダム、という点は、本作のサンダウンの「みだれ撃ち」「新・みだれ撃ち」と同じ。

なお、「新・みだれ撃ち」の「新・」は、SFC版の発売頃またはそれより前の時期、映画で続編のタイトルの頭に「新・」がよくついていたことへのパロディと思われる。西部劇のみならず時代劇映画や功夫映画、テレビドラマでもしばしば見られた。
リメイク版発売の2020年代には「新・~」はほとんどみられなくなったが、「新世紀エヴァンゲリオン」等の庵野秀明監督が「シン・~」というタイトルの作品を複数発表し話題となっている。由来としては「新」も含め、色々な意味がかかっているのだろう。
そして、リメイク版「ライブアライブ」では、最終編に新たに追加された戦いに、「新」ならぬ「Sin」が登場することになる……。

ハリケンショット

ハリケーン - Wikipedia

SFC版では「エリア内、弾の台風」、リメイク版では「狙ったエリアに弾丸の嵐」とある通り、「ハリケーン(hurricane)」と「ショット」から。
SFC版では、技名は最大8文字と文字数制限があったため、「ハリケーンショット」では文字数オーバーになることから「ハリケンショット」となったと推測されるが、ユンの「西安破裏拳」の「破裏拳」部分はおそらく1974年~75年放送のアニメ「破裏拳(はりけん)ポリマー」からだと思われるため、「ハリケーンショット」から一文字削ろうという時に「破裏拳」から「ハリケン」にしたのかもしれない。

リメイク版収録の英語版では「Hurricane」とそのままな名称になっている。

マッドドッグの技名

「シングルショット」以外について記す。

イナズマ撃ち

「麻痺弾で銃撃する」とある通りに麻痺の追加効果があるが、感電で麻痺しているので「稲妻」ということか。
あるいは何かしら元ネタがあるかもしれないが、筆者にはわからない。

サイドワインダー

ヨコバイガラガラヘビ - Wikipedia
※ヘビが苦手な方は閲覧注意

サイドワインダーは「ヨコバイガラガラヘビ」というヘビの別名・通称である。西部開拓時代の舞台でもあるアメリカ合衆国西部の砂漠地帯に生息する。
砂漠の上では「横這い運動」という独特の移動を行うこと、一部のヘビが持つ「ピット器官」という赤外線を探知する器官をヨコバイガラガラヘビも所持していることから、アメリカには「サイドワインダー」という名前の空対空ミサイルが存在している。

サイドワインダー (ミサイル) - Wikipedia

マッドドッグの場合は、技を撃てる方向が斜め方向のみであることが「横這い運動」(リメイク版では3方向に撃てるように変更)、SFC版の「狙い撃ち」やリメイク版の「正確な射撃で敵を撃ち抜く」という説明が「ピット器官」で正確に獲物を狙うことになぞらえての「サイドワインダー」であろうか。
技のモーションでは最後に銃をスピンさせていることも「横這い運動」にちなんでいるのかもしれない。

TXジターバグ

リメイク版に収録された英語版では「Texas Jitterbug」であることや、日本語版でもスキル使用時のボイスから、「TX」は「テキサス」の省略形と思われる。
SFC版では、技名は最大8文字と文字数制限があったため、「テキサスジターバグ」とは設定できなかったのだろう。

「テキサス」部分だが、アメリカの地名としての「テキサス」というよりは、スイングダンスの一種「テキサストミー」からかもしれない。
「ジターバグ(Jitterbug)」は、日本では「ジルバ」という名称で知られているスイングダンスの一種。
英語の「Jitterbug」の発音が、日本人には「ジラバ」に聞こえ、そこから「ジルバ」に変化したという。
マッド自ら回転して銃撃するモーションをダンスになぞらえているのだと思われる。
向き変えの追加効果という点を踏まえると「相手も回す」という意味もあるのかもしれない。
つまり「テキサスジターバグ」は、「テキサストミー」と「ジターバグ」、二種類のダンスをあわせたネーミングという可能性がある。

「テキサスジルバ」なら8文字制限にも引っ掛かることはなかったのだが、本作で「ジターバグ」としたのは、アメリカが舞台の西部編ゆえに英語表記に合わせたということなのだろうか。

同じスクウェアのゲームだと、「ファイナルファンタジーV」で、「ふたりのジルバ」という踊りの技が存在している。

なお、「テキサストミー」や「ジターバグ」を含むスイングダンスが広まったのは1920年代のアメリカであり、西部開拓時代より後であるらしい。
「テキサストミー」については、「スイングダンス」発祥時期としてはかなり初期の1910年頃からという記述が上にはある。
西部開拓時代は19世紀末の1890年くらいまでというのが定説になっているので、「タンブルウィード」と共に「実は西部開拓時代にはなかったネタ」のようである。

ガトリング砲

ガトリング砲 - Wikipedia

O・ディオの一撃必殺技である「ガトリング射撃」だが、ガトリング砲は西部開拓時代に発明されている。
初期のガトリング砲はハンドルを手で回し、複数まとめられた銃身を回転させて弾を発射する仕組みだった。
ディオも戦闘中のビジュアルで、片手で銃身を支え、もう片手でハンドルを回しているのが確認できる。

保安官バッジ

保安官 - Wikipedia

アクセサリー「保安官バッジ」は、そのまま、西部劇に登場する保安官が胸につけている星形の金属バッジからであろう。
星が5つ星、6つ星、7つ星と形が異なることもあるが、これは時代や地域による違いのようである。
本作での「保安官バッジ」の形状はゲーム内では不明だが、SFC版攻略本掲載のディフォルメイラストの保安官が胸につけているバッジは5つ星の形状である。
書籍「ライブアライブ オリジナル+HD-2D イラストレーションズ」でも確認可能。

リトルビッグホーンの戦い

リトルビッグホーンの戦い - Wikipedia

本作ではO・ディオが「全滅したといわれる第7騎兵隊の生き残り」であり、「第7騎兵隊は一頭の馬を残してスー・シャイアンの連合軍に全滅させられた」ことになっている。
これは史実における1876年の「リトルビッグホーンの戦い」を元にしている。
本作の第7騎兵隊は、史実だと北米先住民の掃討を担当したアメリカ陸軍第7騎兵隊が元ネタ。
第7騎兵隊が北米先住民スー族、シャイアン族などの連合軍の野営地を攻撃したことで戦闘となり、最終的に第7騎兵隊は全滅、先住民の連合軍の勝利となったが先住民側にも犠牲は出ている。
もちろん本作のO・ディオは架空の人物であり、史実の第7騎兵隊の中に存在してはいない。

Comanche (horse) - Wikipedia(英語)

史実の第7騎兵隊所属の軍馬の中で、Comancheという馬だけはリトルビッグホーンの戦いを生き抜いたという。
と、言われてはいるが、他にも生き延びたという馬はいるという話もある。戦で重傷だったComancheは運良く助け出されて英雄視され、他にも生き残っていた馬は健康状態が良かったので連れ去られてしまっただけ、というような記述が上にもある。
ただ、後に語り継がれるほど有名なのはComancheだけということであり、現在は剥製まで残されているとのことである。

1959年には「Tonka(邦題:最後の一人まで)」というタイトルで、Comancheのことを扱った西部劇映画が作られている。内容は小説を元にしており創作が含まれているようである。

最後の一人まで(1958) : 作品情報・キャスト・あらすじ - 映画.com



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