基礎知識
戦闘関係
登場人物から演出に至るまで、功夫映画と中国武術のオマージュが散りばめられている。
クリア時の「劇終」の文字は功夫映画における「THE END」表記としておなじみ。
本作は「功夫」を「クンフー」と読むが、これは中国語の発音から(中国語といっても、広東語や北京語などで発音が異なるとのことであるが、筆者は日本語以外の言語には詳しくないので、詳細は調べていただきたい)。
また、本作の元ネタとなった功夫映画の舞台の大半は清朝の末期(本作の「義破門団」の名前の元ネタとなった「義和団の乱」が起きたのが1900年~1901年)であり、登場人物の服装・髪型などからしても、ゲーム内で明言はされていないが、おそらく功夫編も清朝末あたりの時代設定なのだろう。
つまり、幕末編・西部編・功夫編は、時代設定としてはほぼ同時期(19世紀中期~末期あたり)と考えて良さそうである。
当ページでは元ネタが中国語である場合、文字化けを避けるため他の漢字表記としている。ご了承いただきたい。
ブルース・リー(1940年11月27日~1973年7月20日)は、香港人の中国武術家、功夫映画のアクションスター。
「ブルース・リー(Bruce Lee)」は芸名の英語名表記で、中国語表記は「李 小龍」。この「李 小龍」の発音をアルファベットで表記すると(粤拼表記)「Lei5 Siu2 Lung4」のため、「レイ・シウロン」との表記も日本では見られるのだが、この「レイ」の部分が本作の「レイ・クウゴ」の名前の元ネタでは、という説がある。
ただし「リー」は、オディワン・リーの「リー」の元ネタとも考えられる。
沖縄の琉球古武術の武器である「ヌンチャク」は、ブルース・リー氏が功夫映画で披露することで一躍有名になった。
これをリスペクトした結果か、功夫編の弟子たちの最終編最強武器は「達人のヌンチャク」である。
また、ブルース・リー氏は「アチョー!」で表現される功夫映画おなじみの叫び声(怪鳥音)の生みの親でもある。
本作でも功夫編の男性キャラのレベルアップ時等のボイスとして使用されている。
SFC版ではこれらの効果音ボイスを開発スタッフが担当しているが、「アチョー!」ボイスを担当したのは本作発売後に「クロノ・トリガー」の作曲等で一躍有名になる光田康典氏である。「LIVE A LIVE 30周年大感謝祭 -蒲田編-」のトークコーナーでも話題となった。
ジャッキー・チェン(1954年4月7日~)は中華人民共和国の俳優。
功夫映画といえば上のブルース・リー氏かこのジャッキー・チェン氏の名前が上がるであろう、著名な人物である。
日本語吹き替えは石丸博也氏が専属吹き替え声優として担当しており、リメイク版では心山拳師範の声を石丸博也氏が担当したことで、後述のサモの声が水島裕氏であることを合わせて功夫映画感が増している。
サモ・ハン・キンポー(1952年1月7日~)は香港出身の俳優。サモ・ハッカの元ネタ。
名前だけではなく、恰幅の良さや髪型など外見も含めて、本作のサモの元となっている。
日本では功夫映画「燃えよデブゴン」で一躍有名となり、サモ・ハン・キンポー氏といえばデブゴン、というイメージから、「デブゴン」は関係ないのにサモ・ハン・キンポー氏が出演しているというだけで邦題に「デブゴン」が付く現象まで起こった。
「燃えよデブゴン」でのサモ・ハン・キンポー氏の役名は「ウォン・ロン」であり、本作の「ウォンの町」の名称の元ネタの可能性もあるが、実際のところは不明。
サモ・ハン・キンポー氏の日本語吹き替えは水島裕氏がほぼ専任であり、リメイク版のサモ・ハッカの声も水島裕氏が担当した。スキルのボイスの中に「キンポー!」と叫ぶ小ネタまである。
ユン・ピョウ(1957年7月26日~)は香港のアクション俳優。ユン・ジョウの元ネタ。
以上のジャッキー・チェン氏、サモ・ハン・キンポー氏、ユン・ピョウ氏は香港三大スターと呼ばれている。
日本ではゲームも発売された映画「スパルタンX」など、三人が揃い踏みしている功夫映画もある。
時田貴司氏のポストでも、3弟子の元ネタのひとつとして「スパルタンX」が上げられている。
近未来編はシナリオの井上信行さん命名です。原始編も井上さん命名ですね。おぼろ丸は朧月夜から。サンダウンは夕陽のガンマン。功夫編3弟子は西遊記+スパルタンX。現代編は格闘家オマージュ。SF編はSFオマージュですね。お時間あればオマージュ元の作品を是非ご覧ください。
— Takashi Tokita / 時田貴司 (@Takashi_Tokita) April 29, 2021
ファミ通.comのリメイク版発売前インタビューでは、時田氏が元ネタについてコメントしている。
SF編はSFで著名なキャラクターの名前を集めたり、功夫編は3人の物語で中国なので、中国と言えば西遊記。そして、功夫といえばジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーだろうと決めました。『ジョジョの奇妙な冒険』でミュージシャンの名前を使っていたり、手塚治虫先生もいろいろな俳優の名前を使っていたりですとか、お酒の名前で統一しようとかいろいろなやり方があると思いますが、あえてSF編や功夫編はそういった形にしています。
『ライブアライブ』リメイクの新要素や変更点を時田貴司氏に訊く。何度も続編やリメイクにトライし断念、浅野チームに合流してついに実現 | ファミ通.com(2022.02.10)
中国で16世紀に大成した長編小説。日本でも数々のサブカルチャーの元ネタとなっており有名な作品である。
上の時田貴司氏のポスト及びインタビューにもある通り、本作では3人の弟子、レイ・クウゴ、サモ・ハッカ、ユン・ジョウの名字の元ネタになっており、それぞれ孫悟空(ごくう→逆から「くうご」)、猪八戒(「はっかい」)、沙悟浄(「ごじょう」)から取られている。
また、それぞれの性格や行動も元ネタのキャラが引用されている。
孫悟空は乱暴で反抗的な性格であり、三蔵法師の弟子になってからも粗暴な面があったが、初対面で老師に戦いを挑むレイに似通っている。
猪八戒の食欲旺盛、体格の良さ、愚かさといった面はサモそのものである。
沙悟浄は(他のふたりの弟子に比べて)生真面目でありユンを連想させる。
他には、攻撃アイテム「ひょうたん」はHPを吸い取る効果があるが、西遊記に登場する金角・銀角が使用する瓢箪の紫金紅葫蘆(呼びかけた相手が返事をすると中に吸い込んでしまう)が元ネタと思われる。
リメイク版ではTIPSで地名などについての解説があるが、功夫編TIPSには中国由来の成語も共に掲載されており、サモが弟子入りするユンファの市場の成語「猪八戒吃人参果」は西遊記由来である。
意味は「猪八戒が人参果(架空の不老長寿の果実)を食べる」だが、転じて「愚か者である猪八戒は人参果のありがたさがわからない」、つまり日本における「猫に小判」のような意味である。
ちなみに竹林の「狐假虎威」は「虎の威を借る狐」、ウォンの町の「窮鼠噛貍」は「窮鼠猫を噛む」、義破門団道場の「毒如蛇蠍」は「蛇や蠍の毒の如し」。
余談だが、ワタナベイベントで見られる「どはつ天突拳(SFC版) / 怒髪天突拳(リメイク版)」については、鳥山明氏の漫画「ドラゴンボール」の方の孫悟空が元ネタのようなモーションに見えなくもない(髪の毛が逆立つ、構えがいわゆる「かめはめ波」っぽい)。
中国武術の一派で、形に動物の名前を模した「十二形拳」があり、「龍(竜)」や「猴(猿)」など、本作の心山拳やレイのスキルの名称の元ネタになったと思われる。
イーペイコウの技「虎形拳」「鳥形拳」も、形意拳が元ネタになる。イーペイコウについてはこのページの一番下「敵の技名」も参照。
「心山拳」自体は造語であるが、それぞれの技は上に記したように動物由来の形意拳など元ネタがある。
その他の元ネタについて記す。
竜と虎は強者を現すモチーフとして、古代中国でも室町時代以降の日本でも有名。
「両破腕」なので、その強者どちらの腕も破る=封じる、無力化するという意味であり、ステータスダウン及び追加効果の腕封じの状態異常に反映されている。
リメイク版では老師のボイスに「竜虎の腕をも止める技じゃ!」というパターンがある。
ことわざの「百里の道も一歩から」が由来。
リメイク版では老師が使用する時にしっかり「百里の道も一歩から」とボイスが入る。
中国戦国時代の諸子百家の一人列子が記した「列子」湯問第五篇を素材とした、1942年の中島敦氏の短編小説「名人伝」に、「不射の射」が登場しており心山拳の「不射の射」の元ネタと思われる。
本作と同じく「弓を持たず矢を放たずに対象を射落とす」という技。
先に上げた形意拳とも被るが、レイの「蛇形拳」の元ネタは1978年の映画「スネーキーモンキー 蛇拳」に登場する「蛇形拳」でもあると思われる。
主演はジャッキー・チェン氏。
原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏の漫画「北斗の拳」(連載:1983年~1988年)の登場人物レイは「南斗水鳥拳」の伝承者である。
本作ではレイが「水鳥脚」を使用するが、キャラの名前と技名の共通点から、元ネタになっている可能性がある。
また、逆に「水鳥脚」からレイの名前が付けられたという可能性もあるが、実際のところはわからない。
レイの技「画竜天聖の陣」の名称は、成句「画竜点睛」からだろう。
実際の意味は上サイト等で確認していただくとして、本作では「画竜天聖」と漢字が異なる。
技を出した時のエフェクトは文字通りに竜の陣から竜が天へと登っていく様子であるが、元の意味もかかった表現となっている。
ユンの技「西安破裏拳」の名称は、1974年~75年放送のアニメ「破裏拳ポリマー」が元ネタと思われる。
「破裏拳ポリマー」の設定には当時の功夫映画ブームが背景にあり、主人公は格闘技の達人で、「破裏拳ポリマー」に転身すると功夫映画を思わせる「破裏拳流」という拳法を駆使して戦う。
【破裏拳ポリマー】 第1話「怪盗むささび党」 - YouTube
サモ独自のスキルが食材や料理名であること、装備品に調理器具が含まれていること、回復アイテムも中華料理にちなんでいることは一目瞭然であるが、元ネタとしてサモのスキルについてひととおり紹介しておく。
サモを伝承者に選んだ時のみ見られる功夫編のワタナベイベントだが、「ワン・タンナベ拳」は「ワンタン」+「鍋」を元ネタとしたダジャレである。
ワンタンは春秋時代に紀元があるという説もある。
「肉まん」については上の料理ネタで紹介した通り。
上の「中華まん」についても参照のこと。
回復アイテムとして登場する三種の野草。日本でも知られた野草だが、中国でも自生しているようである(ただし三種ともヨーロッパなどが原産地で、帰化植物として日本や中国でも自生するようになっており、功夫編の時代に中国に自生していたかどうかまではわからない)。
また、三種とも人間が食用としている事例がある。
「ペンペン草」はナズナの別名で、日本では春の七草でもおなじみ。
ただしシロツメクサ(クローバー)は、人間への中毒の報告こそないものの家畜に中毒事故があったため、何の知識もなく食すことは非常に危険である。
ゲームに出てくるからというだけで軽い気持ちで食べてみるのはやめるように! きちんと調べた上で自己責任で!
「ももまん」は、中華料理の包子である蓮蓉包の一種。
中国では桃は不老不死をもたらす、つまり長寿を表すめでたい食べ物とされており、その桃を模したももまんも祝いの席に出される。
SFC版の「フカヒレまん」がリメイク版で「小籠包」に変更されたのは、「フカヒレまん」は日本(横浜中華街)発祥だから、という可能性が考えられる。
「フカヒレまん」の元祖という店舗は1994年4月から「フカヒレまん」を販売しているという。つまりSFC版発売(1994年9月)と同じ年であり、開発終了間近のSFC版に「フカヒレまん」ネタを盛り込めたかどうか、それともSFC版開発スタッフが架空の料理として設定したのか判然としない。
また、本当に該当の店が発祥なのかどうか、検証が難しい。
サモのスキル等、「フカヒレまん」以外については、「小籠包」も含め、筆者が調べた限りかなり昔(ものによっては紀元前あたり)から存在していたようである。
他には、山深い内陸地方での物語と思われる功夫編において、海の幸であるフカヒレは合わないのでは、ということもあるかもしれない。
いずれにせよ、変更された理由は公表されていないため不明である。
「老酒」は中国の醸造酒「黄酒」を長期熟成させた酒のこと。
SFC版の「老酒」はリメイク版で「鉄観音茶」に変更されているが、「老酒」が登場するのは、中国武術の酔拳や、功夫映画「ドランクモンキー 酔拳」からのネタと思われる。
リメイク版では最終編にて、ボイスハートが「酔拳」を使用するようになった。
「ドランクモンキー 酔拳」の主演はジャッキー・チェン氏。
鉄観音茶は福建省泉州市安渓県発祥で、1720年頃から飲まれているらしい。
オリジナルのSFC版をそのまま収録したWiiU・ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでの「ライブ・ア・ライブ」のCEROレーティングはBで、飲酒・喫煙に関するコンテンツアイコンはないのだが、リメイクにあたって飲酒・喫煙に関するアイテムをすべて変更したのは何かしらの事情があるのだろう。
リメイク版でもレーティングはBのままで、コンテンツアイコンにも変更はない。
攻撃アイテム「フケイの羽」の「フケイ」は、中国に伝わる怪鳥「鳧徯」が由来と思われる。
鳧徯は雄鶏に人間の頭がついたような姿で、上のWikipediaに掲載された絵はかなり不気味(不気味すぎて、人によっては逆にギャグともとれそうな見た目でもある)。
リメイク版でのアイテムの説明に「敵を不吉な状態にする妖鳥の羽」とあるが、鳧徯も「現われると天下に争いが起こる」と言い伝えられており、不吉な意味合いを秘めている。
リメイク版ではアイテムの説明に「麒麟の素早さを得る靴」ときちんと解説がついたのでわかりやすくなったが、動物の「キリン」ではなく、中国神話における伝説上の生物「麒麟」が名称の元ネタである。
SFC版にはゲーム内でアイテムについての説明がないことと、功夫編には他に「パンダ」「チャウチャウ」という動物が元ネタのアクセサリーも存在していることから、SFC版当時は、動物の「キリン」のことだと思っていたプレイヤーもいたかもしれない(特に小学生あたりならば仕方がない)。
SFC版攻略本では「キリンのくつ」について、きちんと「麒麟をかたどったクツ」だと説明があり、イラストも描かれている。
装備すると速/素早さが上がるが、中国神話の麒麟に素早いという設定があるのではなく、足の速い馬のことを「キリン(この場合は騏驎と書くことがある)」ということが元になっている。
「パンダ」と「チャウチャウ」についてだが、功夫編に出てくることから「パンダ」は「ジャイアントパンダ」のことだろう。
ジャイアントパンダは現在中国にのみ生息、チャウチャウは紀元前から中国にいたという歴史のある犬種である。
リメイク版では、アクセサリー「パンダ」は耳飾りで、「チャウチャウ」は首飾りと説明があるのだが、SFC版では名前だけではどんなアクセサリーなのかわからず、ぬいぐるみを持ち歩いているのかと想像したプレイヤーもいたかもしれない。特に、SFC版攻略本では「パンダ」のイラストがぬいぐるみのように描かれており、大きさが判然としない。
孫子王や荒くれ者がドロップする体装備「デカパン」は、リメイク版でのアイテム解説に「あいつのデカい功夫パンツ」とあるとおり、「デカいパンツ」の省略形であるが、「デカパン」という言葉自体は赤塚不二夫氏の漫画及びそのアニメ版の「おそ松くん」(漫画:1962年~1969年、アニメ第一作:1966年~1967年)の登場人物・デカパンから広まったと思われる。
義破門団員のスキル「べんぱつムチ」も含め、義破門団員や、トンチャ・シャーチャ・ペイチャ・ナンチャのデザインも皆、髪型がいわゆる「辮髪」(日本では常用漢字で「弁髪」と書くことも多い)である。
日本人からすると「一昔前の中国人男性といえば辮髪」であるが、上のWikipediaの記事を読んでいただければわかるとおりに、実際には辮髪には複雑な歴史がある。
歴史が長い上に広大な地域ゆえ、文化も多岐に及ぶのだが、日本のサブカルチャーでは、十把一絡げに「中華ネタ」としていることがよくある。
(このあたりは、日本における「時代劇や創作上の忍者」や、西部劇における「実際の西部開拓時代とは異なるネタ」と同じようなことである)
アニメ・漫画・ゲーム好きなら、日本のサブカルチャーにおける中華キャラを本作以外でも何人か思い浮かべることができるだろう。それくらい日本のサブカルチャーにもキャラ属性のひとつとして馴染んでいる。
日本においては功夫映画の影響にくわえて、サブカルチャーでの中国人男性(中華キャラ)の「辮髪・ドジョウヒゲ・道着または人民服」というイメージを確立したのはおそらく、漫画「キン肉マン」(連載:1979年~1987年)の登場キャラ・ラーメンマンであろう。
本作の装備品の「ナマズヒゲ」もここからのネタと思われる。
なお、モンゴルマン(諸事情でマスクで変装したラーメンマン)は辮髪を武器として利用しており、「べんぱつムチ」の元ネタかもしれない。
日本のサブカルチャーでは、中華系キャラというと格闘家の他に「料理人キャラ(中華料理から)」や「老人キャラは白ひげで仙人っぽいビジュアルだったり、師匠ポジションや解説役」などがお約束だが、本作でもこのあたりのお約束は守られている。
また、女性の中華キャラというと「チャイナ服(チャイナドレス)」「シニヨンテールか三つ編み」がお約束であるが、これらはレイや町の人々、更に義破門団のチャン・リン・シャン三姉妹がお約束を守っている。
清朝末期の動乱「義和団の乱」(1900年~1901年)の原因になった「義和団」が、本作の「義破門団」の名称の元ネタと思われる。
武術の世界における、流派からの追放を意味する「破門」を組み合わせているのもポイント。
義破門団の敵と12人衆の名前の大半は、麻雀用語(と、その元となった中国語)から取られている。
中国語の1、2、3、4に対応。
数牌の2から8まで(二萬から八萬まで、二筒から八筒まで、二索から八索まで)の21種類の総称。
麻雀は親1人・子3人に分かれてプレイするが、それぞれの局(麻雀におけるゲーム内の最小の区切り)で親にあたるのが東家(トンチャ)、子に当たるのが南家(ナンチャ)、西家(シャーチャ)、北家(ペイチャ)。
一索から九索までの9種類の牌の総称。
一萬から九萬までの9種類の牌の総称。
麻雀の役のひとつ。
リンスインシャンプー「ソフトインワン」のキャッチコピー「ちゃん リン シャン」がチャン・リン・シャン三姉妹の元ネタ。
なお「ちゃん リン シャン」は、「ちゃんと リンスしてくれる シャンプーです。」の意味である。
1989年3月から放送されたテレビCMでもこのフレーズが使われ、商品・キャッチフレーズともに流行した。テレビCMは代替わりし、現在では「ちゃん リン シャン」のCMは放送されていないが、「ソフトインワン」自体はリメイク版発売の2022年でも発売中である。
「ソフトインワン」のCMが流行していたことに加えて、偶然「チャン」「リン」「シャン」どれもが中国語っぽい発音であることから採用されたと思われる。筆者は中国語に詳しくないため人名にあるかどうかはわからないが、実際に「チャン」「リン」「シャン」の発音に近い中国語の文字(漢字)はたくさんある。
またこの三姉妹は、「ファイナルファンタジーIV」の敵キャラ、メーガス三姉妹(見た目が小柄・長身・ふくよかの三姉妹)のパロディでもある。
近未来編ではプロレス中継の最後に「ミトひきわりシャンプー」のCMが入るが、「ソフトインワン」のCMが流行していたことのパロディかもしれない。
12人衆の使用技のネーミングはほとんどが中国武術からと思われるが、筆者は中国武術に詳しくないので、ここでは筆者が調べた結果を一覧として紹介するに留める。間違いが含まれているかもしれない。
また、カッコ内の拳法名については、複数の拳法が使う技があることと、実際には門派が多数あり、その中の一派の使う名称の場合があることをお断りしておく。
元ネタの技がどのようなものかは、実際に調べるなどしていただきたい。
イーペイコウについては上の「形意拳」も参照。
なお、功夫編デザイン担当の藤原芳秀先生が作画を担当した漫画「拳児」(連載:1987年~1992年)は中国武術をテーマとした作品であるため、以下の技が登場することもあり、本作での技名も『中国武術をテーマにした漫画「拳児」を元ネタとした技名』である可能性もある。
使用者 | 技名 | 元ネタ(拳法) |
---|---|---|
サンシ | 飛可拳 | 劈掛掌(※拳法名) |
イーシ | 双換手 | 双纏手(太極拳) |
黄竜反身 | 黄竜反身(八卦掌) | |
白蛇登心 | 白蛇吐信(八卦掌) | |
アルシ | 旋弓打 | 穿弓腿(蟷螂拳) |
七星天分手 | 七星天分肘(蟷螂拳) | |
定研帥 | 圏捶(蟷螂拳) | |
トンチャ | 前混反脚 | 前掃腿 |
混戦退 | 後掃腿 | |
シャーチャ | 頂心手 | 頂心肘(八極拳) |
旋失歩 | 箭疾歩(八極拳) | |
外門三不虎 | 迎門三不顧(八極拳) | |
ペイチャ | 乱殺威 | 懶扎衣(太極拳) |
砲虎帰山 | 抱虎帰山(太極拳) | |
王失妖歩 | 楼膝拗歩(太極拳) | |
イーペイコウ | 妖子砕肩 | 鷂子栽肩 |
雲平日月破 | 雲閉日月把(心意六合拳) | |
虎形拳 | 虎形拳(形意拳) | |
鳥形拳 | 鶏形拳(形意拳) |
サンシの「飛可拳」など、明らかに元ネタの当て字と思われる技がいくつかあるが、これはSFC版で使用可能な漢字に制限があった、難読な漢字を使うことを避けた、「懶扎衣」→「乱殺威」のように敵ポジションの義破門団の性質から意図して変えた、などの理由が考えられる。
中国武術の武器名(中国武術では「器械」と呼ばれる)からもいくつか技名が取られている。
隠し持つ武器のことを暗器というが、ここからのネーミングも含まれる。
ナンチャの技名。「飛刀」や「飛刀立威」は暗器の投げナイフのこと。
「双錐攻撃」はシャンの技名。「双錐」は、実際のビジュアルでも両手に持っている武器。
「錐」はおもりのことで、その「錐」が先端についた棍棒2対のこと。
チャン・リン・シャン三姉妹では、チャンの棒術やリンの双刀も中国武術でおなじみである。
チュンチャンパイやオディワン・リーの技名。投げ縄の先に鉤爪がついた武器。
毒を塗って使用することもあり、本作でも毒の追加効果として反映されている。